第14話 クラスメイトとの交流
私のクラスに貴族は5人で他のクラスメイトは平民なので、貴族令嬢の私達は浮いた存在だ。本来ならクラス委員がクラスをまとめないといけないところだけど、キンバリー様達は壁を作って接しようとしなかった。
クラスがまとまらないと、クラス対抗で行われる選抜の行事に影響が出るので、私はクラスメイトに勉強会を呼びかけて、積極的に交流をして親しくなっていった。
他の貴族令嬢達はそんな私へ冷たい視線を向けていた。当然だけどアリグリア様も指摘をしてきた。
「アイマール、平民から頼まれるのなら仕方ないけど、貴族から声を掛けるのは良い事だとは思えないわね」
「同じ試験を受けて入学したクラスメイトなので、私は貴族だとか平民だとかは意識してないんですよ。私は卒業すれば家を出て貴族籍から離れるつもりですからね」
「嫁げば貴族籍のままなのよ?」
アリグリア様が『嫁ぐ』と言った瞬間に、私が異性に恐怖を抱いていることを思い出したようで、表情を曇らせた。
「ごめんなさい……」
「いいえ、お気になさらず。私は平民になる予定なので、アリグリア様と友として過ごせるのは女学院の間になりますね」
「えっ、私はアナタとは身分に関係なく友であり続けたいと思ってるわ」
「ありがとうございます。その思いをクラスメイトにも向けてみませんか?話してみれば同じ人間だと判りますよ」
私の言葉を聞いたアリグリア様は、少し複雑な顔をしながら答えた。
「もう少し考えさせてね。アイマールのような柔軟な考えじゃないから直ぐには決断出来ないわ」
「判りました。私は勉強会があるので教室へ向かいますね」
「えぇ、また明日ね」
アリグリア様と別れた後は、教室へ戻ってクラスメイトと勉強会を行う。男爵家とはいえ貴族なので最初の頃は警戒されてたけど、少しずつ慣れてくれて気軽に判らない所があれば声を掛けてくれるようになった。
勉強会の結果は直ぐに表れて、定期テストではAクラスは断トツの1位となり、何もしていないキンバリー様は他のクラス委員から質問攻めにあって返答に苦労していた。
ただ、私はアリグリア様に輪の中に入ってもらいたいので、私がダンスやテーブルマナーを教えるのに、困ってるような素振りをしていると、私を助ける為に勉強会に参加してくれた。
「アイマールは基本も出来てないわね。私が手本を見せるのでアナタ達も見ながら覚えるようになさい!」
少し嫌味っぽい言い方だったけど、私がみんなに笑顔で頷くと全員が返事をする。
「「アリグリア様、ありがとうございます」」
「ふん、別に礼を言われる事ではないわ。私達はクラスメイトなんですから」
顔を赤らめながらも『ツンッ』と返事するところがアリグリア様らしく思えた。もう少し時間は掛かるだろうけど、この輪の中に私と一緒に居る時のような雰囲気になるだろうと思った。
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