第13話 メイド達の情報交換

 お嬢様がバーラント嬢と友となられた事で、私は専属メイドのダブネと情報を交換する事にした。


「ダブネさん、お嬢様方が友となられた事で、情報の交換をしたいと思うのですがよろしいでしょうか?」

「構いませんが、ならば誓約を結ぶ必要がありますね?」

「そうですね。互いの秘密を口外しない誓約は必要ですね。こちらの内容でよろしいですか?」


 私は事前にサインした誓約書を、ダブネへと渡しその内容を確認してもらう。私達メイドは互いの主の為に情報を交換しあって、知った内容を一切口外しないという誓約を交わす。


「アリシャさん、誓約書の内容を確認してサインをしました。情報交換はどのタイミング行いますか?」

「そろそろ午前の授業が終わりますね。午後の授業中にでもしましょうか」

「了解しました」

「では、教室へ向かいましょう」


 私達はお嬢様を迎えに教室へ戻る。お嬢様はバーラント嬢以外にも数人の平民と仲良くなったようだ。お嬢様は分け隔たりなく人と接する事で付き合いの幅を広げられている。完全に垢が落ちたバーラント伯爵令嬢も、平民との付き合いに抵抗は無いようだった。


 そして午後の授業が始まり情報交換を始める。


【名前】アリグリア.バーラント

【理魄】風

【才覚】細剣術


 理魄は風のシングルで才覚は細剣術と、理魄と細剣は相性が良いので上手く成長すれば良い剣士になれるかも知れない。家族から冷遇されてるので妾の子で養女にしたのかと思ったが、本妻の娘だったが兄姉と比べると見劣りする為に、腫れ物を見るように接したのか……


 バーラント嬢の情報の後にお嬢様の事も教えたが、ダブネはその内容に顔を青ざめていた。


「そんな……親のする事ではない!それにアナタはそれ程の覚悟を……」

「私の命はお嬢様が生まれたあの日より、共に歩むとアーリシア様に誓いを立てましたからね。あぁ、そろそろ授業が終わりますね教室へ戻りましょうか」


 メイド同士の初めての情報交換はとても有意義だった。これかも互いの主の為に情報を共有して、快適な学生生活を送ってもらう為に頑張ろうと思ったのだった。


「アリシャ、今日はアリグリア様から夕食に誘われたから、着替えを済ませたら部屋の方へ向かうわね」

「かしこまりました」


 お嬢様が笑顔であり続ける為に、私はその隣に並び続けるだけなのだから……




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る