第10話 出来損ないと呼ぶのなら
私がキンバリー様を否定してから、アリグリア様と選抜委員を務めると言った後は、教室が静かになった。ジュリエッタ先生も少し違いそうな顔をしながらも話し始める。
「アリグリア、アイマールは2人で選抜委員をしたいと言ってるけど、貴女はそれで良いのかしら?」
アリグリア様は固まっていたので、先生への返事が出来ないでいた。私は小声で声を掛けて返事を促す。
「アリグリア様、先生へ返事をしてください」
「あっ、はいっ、私は選抜委員で構いません」
少し上ずった声で返事をした。
「これで委員は決まりだね。選抜委員はアリグリアが委員長でアイマールは副委員長で決定。クラス委員はキンバリーが委員長だから副委員長と委員は貴女が決めるのよ?」
「私が決めるのですか?」
「アイマールの言ってた事を聞いてた?人を纏めるのも貴族の仕事で、その委員長なんだから当たり前の事でしょ?」
「は、はい、判りました」
先生から指摘された事で、少し『ムッ』とした表情をしながらも返事をしていた。午前の授業は委員の決める事だったので、する事がなくなったと思ったタイミングで先生が授業終了を伝えた。
「午前の授業は終了するよ。午後は理魄を見せてもらうからね。では解散!」
「「ありがとうございました」」
私が教室を出てアリシャと貴族寮へと戻ろうとすると、キンバリー様がメイドを連れて近寄ってくる。
「お持ちなさい!あの出来損ないと一緒にクラスの足を引っ張らないでよ?」
「出来損ないとはアリグリア様の事を言われてるのですか?」
「それ以外に誰が居るっていうのよ。貴女は馬鹿なのかしら?」
「同じ女学院に通っているので、アリグリア様を出来損ないと呼ぶのなら、同じように受験をして入学した私達も、出来損ないという事になりますよね?」
同じ女学院に通ってるんだから、この場に居る全ての生徒が同じだと思ったので、そのまま返事をするとキンバリー様は何も言い返せなかった。
「では、部屋へ戻るので失礼します」
私は軽く頭を下げてから貴族寮へと戻った。
部屋へ戻るとアリシャが心配そうに声を掛けてくる。伯爵令嬢にあの態度を取ったから内心は『ヒヤヒヤ』していたんだね。
「シュスター嬢にあの態度は少し不味いのではありませんか?」
「キンバリー様は多分だけど高等科で終わると思うし、あのタイプとは付き合えないよ」
「お嬢様がそう決めたのなら、私からは何も言う事はございません」
アリシャは私の事を否定する事はない。意見は言ってくれるけど、最後は私の意思を尊重して見守ってくれるので助かる。
お昼にはまだ早いので、私が本を読みながら時間を潰していると、『コンコン』とドアをノックする音が聞こえたので、アリシャが対応する。
「お嬢様!バーラント嬢が話をしたいといって訪問されました。どうそれますか?」
「直ぐにお通しして」
アリグリア様がわざわざ部屋へと訪問してきたのだった。
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