第8話 天才たる所以
入学式の翌日からは授業が始まる。
授業のシステムはシンプルで、午前と午後で2教科のみの授業になる。しかも午前の授業が終わると一旦寮へ戻って、食事を済ませてから午後の授業が始まるんだから、前世では考えられないほどのゆとり教育だと思った。
そして午前の授業は各委員の決めるだけで、本当の授業は午後からで何の授業かは判らない、時間割すらない事に驚いた。ひょっとして気分次第で授業が決まるなんて事はないよね?
そんな心配をしてるとジュリエッタ先生が教室へ入って来たので、全員が起立して挨拶をする。
「「おはようございます」」
「はい、おはよう。午前は委員を決めるよ…」
先生からの説明で委員は2つあったの。
①クラス委員…言わずと知れたクラスをまとめる委員で、委員長と副委員長に委員が2人。
②選抜委員…学年イベントが行われる時に、クラスへ通達する委員で、委員長と副委員長の2人。
「立候補しても良いし、推薦しても良いよ!」
自推他推でも良いとの事なんだけど、貴族と平民が混在するので、その辺りも考慮する必要があるのかと思ったので、先生に質問をした。
「ジュリエッタ先生、質問をしてもよろしいでしょうか?」
「うん?構わないわよ」
「過去の委員は貴族の者が務めていたのでしょうか?そうだとすれば、貴族の階級の高い方から委員に成っていくべきだと思いますが、如何でしょうか?」
「そうだね、委員については貴族令嬢が務める事が多いわね。理由は判るかな?」
私の質問に対して返答をすると、同時に貴族令嬢が委員を務める事が多い理由を生徒達に投げ掛けたの。
「それは、貴族だからですよね?」
「えっ?それだけなの?」
誰もが貴族というだけで委員をしてると思っていた。私は違う認識なので思った事を答えた。
「貴族だからというより、貴族は国より領地を与えられるので、領地運営をする必要があります。そうなれば領民達を纏めていく必要があるので、女学院で委員を務めてクラスを領地と見立てて、人を纏める事を学ぶんだと思います」
「おぉ、大正解だよ!アイマールは優秀だね。例年だとその説明をしてたんだけど、今年はその必要がなかったわね。その事を踏まえてクラス委員を考えてみようか」
貴族が委員をするのなら、貴族と爵位を知る必要があるので、自己紹介が必要になるので、その事を先生へ提案する事にした。
※ジュリエッタ視点
アイマール.レジストリー男爵令嬢の担任になると聞いた時は、かなり面倒な事なのだと思っていた。貴族令嬢でブッチギリの首席合格とかって、絶対に小生意気な小娘だと思っていたからね。
それが、控えめだけど必要だと思う事はしっかりと確認してくる。更に私の質問にも模範解答で答えて、更に一番良い結果に導く為の提案までしてきたの。王立学園でも首席合格するのでは?と言われる女学院始まって以来の天才少女に、私は期待を膨らませたのだった。
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