第6話 入学式とクラスメイト

 入寮してから1週間が経って、女学院の入学式の日を迎えた。流石は女学院だけあって、学院長を含めて全ての職員が女性で、娘の入学式とはいえ父親の参加は認められなかった。異性へのトラウマを抱える私には最高の環境だといえる。


 私は首席合格なので、新入生代表として挨拶をする事となり前日は緊張で寝れなかった。


 そして入学式が順調に進んで、新入生代表としての挨拶をする事に……はぁ、緊張するよ。


「新たな年を迎えて、私達は淑女の鑑となる女学院へ入学致します。本日は私達のために、このような盛大な式を挙行して頂き誠にありがとうございます。新入生を代表してお礼申し上げます」


 無難に挨拶を済ませた後は、学院長の言葉を最後に入学式は滞りなく終了した。式が終わるとクラス分けが張り出されたので、アリシャが確認をして初等科のAクラスだと判った。

 

 女学院は【初等科】【中等科】【高等科】【淑女科】【選抜科】の5年制で、高等科まではエスカレーターで進級出来るけど、淑女科と選抜科は進級試験に合格しなければ進級出来ないの。


 私はアリシャと教室へと向かう。


 同伴者は教室の中へは入れず、ここからは先は生徒のみとなる。


「では、行ってくるわね」

「はい、お待ちしてます」


 教室へ入って空いてる席へ適当に座る。

 ホームルームが始まるまでの間に、入学式の様子を思い出してみる。貴族子女と平民の比率は半々くらいだったの、高位貴族の令嬢は王立学園を目指すみたいね。


「アナタは確か新入生代表だったわね?名前は何だったかしら?」


 なんて事を考えていると、突然話しかけられたので驚いた。


「ひゃい?」

「あら、聞いてなかったの?失礼な方ね」

「あっ、ごめんなさい。私はレジストリー男爵家長女アイマールと申します!」

「男爵家なのね。私はバーラント伯爵家三女アリグリアよ!」


 金髪で外に跳ねたロングヘアーと、青い瞳に整った顔をした少女は伯爵令嬢だった。


(かなり高慢な話し方をする人だね……要注意だ)


「バーラント伯爵令嬢様、クラスメイトになれて光栄でございます。今日より1年間よろしくお願い致します。男爵家の為に礼儀作法で至らぬ点が多いかと思いますが、お許しください」

「えっ、えぇ、よろしく頼むわ」

(なんなのこの娘は?同い年よね……)


 バーラント伯爵令嬢様との話が終わると、先生が教室へと入って来られたので、他の生徒達は慌てて席に着いた。


「おはようございます。今日から1年間Aクラスの担任する【ジュリエッタ.ロメロ】です。よろしくお願いします」

「「よろしくお願いします」」


 ジュリエッタ先生から明日からの授業の説明などを聞いて、女学院の初日を終えたので教室を出て寮へと戻ろうとすると、バーラント伯爵令嬢様に呼び止められた。


「レジストリー男爵令嬢、寮へ戻るのならご一緒しませんこと?」

「バーラント伯爵令嬢様、喜んでお供いたします。どうかアイマールとお呼びください」

「判ったわ。アイマールよろしく頼むわね。特別に名前で呼ぶ事を許すわ」

「アリグリア様、ありがとうございます」


 こうして私は、女学院へ入学早々にアリグリア様という学友を得たのだった?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る