ネッ友いないないばあ
@kerorikku
ネッ友いないないばあ
春の光が窓辺を温かく照らす中、真っ暗な部屋の中で私はスマホを触っていた。ネットの世界は私の心の拠り所で、ここで出会った友人たちはリアルよりも心を通わせられる存在だった。
特に一人、彼は私の心の支えだった。毎晩のように会話を重ね、共感し合う日々。気持ちもはっきりせずよくわからないまま、ただただ毎晩会話を重ねて、毎晩寝落ちし合った。
しかし、その関係は突如として終わりを告げた。彼にブロックされたのだ。理由はわからない。ただ、心に深い傷を負った。
探しても探しても、彼は見つからなかった。
時は流れ、また春。
何年も何年も春を過ごした。そして心の痛みは薄れかかったある春のころ、私に彼氏ができた。彼氏は温かく、優しい人だった。
どうしてこんなにも共感できるのかわからない。どんなふうに考えても、絶対に運命の人なんだと確信できた。私は再び心を開くと決めた。
彼氏との会話は私に喜びをもたらし、こんなにも人を好きになったことは人生で初めてだった。
しかし、ある衝撃的な事実が判明する。新しい彼氏は、実は以前の彼だったのだ。きっかけはなんとなく話した昔のできごと。そのどれもが符丁に合った。
別の顔で接していた彼。私は混乱し、怒り、そして悲しみに襲われた。
「なぜ?」そんな問いは彼には届かない。彼は、私が彼が彼だと気付いたことに、全く気付いていない様子だった。
それほど悪びれもないように、単なる昔のできごとを語っていた。
一方で私は涙を流していた。真実を知った今、私の心は何を感じるべきなのか。
憎しみ?それとも許し?喜べばいいのか。叶わなかった恋が、手に入ったのだから。
泣いている私がなぜ泣いているかもわからない彼を見て、私の心は静かに冷えていった。彼はなぜか、あのときのブロックのことについて、言葉を濁していた。
この出来事は私に大きな疑問を投げかけた。ネットの世界での関係は、どれだけ信じられるのか?人は、どれだけ変わることができるのか?
春の光が満ちていた。新しい季節が、新しい始まりを告げている。私はゆっくりと深呼吸をし、自分自身に何をすべきか問いかけた。
「さようなら」
気付くと私は声にそれを出していた。私は彼から離れることを選択していた。後ろから私の名前を叫んでいる声が聞こえる。私はそれを無視した。
彼の連絡先も、彼以外の連絡先もすべて消して、私は家に帰り部屋にこもり、スマホを触り始めた。
彼を探しに行くために。
探しても探しても、彼は見つからなかった。
ネッ友いないないばあ @kerorikku
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