2.黒い鞄、赤いマント。


石レンガの上を馬車が走り、硬い音が鳴る。

その馬車を、友達と追いかける。

黒のカバンを持った、うっかりさんがおれだった。

おれは、あの子に会えたから、王族に生まれて良かったって思えた。

お稽古も礼儀も、面倒だったけどね。

レンガの境目につっかえてこけていたおれは、

今、断頭台に首を預けた。

権力争いなんて汚いものに巻き込まれて。

王としての利益に目がくらんだおれは、

結局負けてしまって。

歓声が沸いたら、あの子は赤いマントを羽織って、

女王になるんだ。

ごめんね、ごめんね、

巻き込んだのはおれだったね。


「また来世で」

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