No.3 一人くらい忘れたっていい……わけないじゃん!『アーサー・クリスマスの大冒険』

 メリー・クリスマス! 今年はサンタ映画7選やってます! 今日で3本目!




『アーサー・クリスマスの大冒険』


(2011年・アメリカ&イギリス・100分・NETFLIX, Amazon Prime)



【あらすじ】

 サンタクロースは現在20代目! 70回目のクリスマスおめでとう!

 次期21代目サンタ内定の息子スティーブが考案した超巨大ハイテク・スカイシップと大勢のエルフたちを駆使し、今年も20億人にプレゼントを配り終えたクリスマス一家。ところが、一人の子供あての〝自転車〟の配送もれが発覚! 現役サンタもスティーブも配達不可能と諦める中、ドジなせいで厄介者扱いの次男坊アーサーは自転車を抱え、祖父で元19代目のおじいサンタに相談をもちかけるが……。



【解説(ネタバレあり)】


 3本目は3Dアニメです。3だけに!

 こちらのサンタはハイテク! もすごいんですが、人間と同じくらいの寿命で世襲せしゅう制なのもユニークです。


 主人公は現役サンタの息子で敏腕・優秀な次期サンタ――を兄に持つえない弟アーサーくん。

 天然でそそっかしくておっちょこちょいで、仕事場に入るとエルフたちに迷惑をかけるので〝手紙係〟に追いやられています(子供の手紙をチェックして返事を書く係。郵便室に缶詰)。しかし、彼はクリスマスが大好きで、サンタクロースとはすばらしい存在であると信じています。


 そんな彼だからこそ、父や兄のように「20億人も幸せにしたのだから、一人くらいいいだろう」と自分を納得させることができません。しかし、手紙係が精いっぱいの彼は父や兄の助けなくしてはなにもできない……。

 と思っていたところへ、昔かたぎのおじいサンタが手を差し伸べます。破棄されたはずの古いそりを持ち出し、趣味として飼育していたトナカイたちも貸してくれます。自らがサンタになるチャンスを得るアーサーくん!


 ところが! 問題はまだ山積み。アーサーくんは高所恐怖症で心配性で、ほかにも苦手なものがいーっぱい。

 さらに、頼みの綱のおじいサンタがなんでもかんでも昔のカンでやろうとするので、肝心の子供のもとへ一向にたどり着きません。極めつけに、昔だから人間に見つからなかった空飛ぶそりも、現代では容易に観測されてしまいます……。


 兄スティーブがやりとげた〝完璧なクリスマス〟(一人を除く)を台無しにしつつ、世界中巻きこむ大騒動に発展させながら、ただプレゼントを届けることだけは諦めないアーサーくん。

 彼は、妖精まかせの名誉職と化した現役サンタの父にも、仕事の才能はあっても惰性的にこなしている兄にも、承認欲求に憑りつかれたおじいサンタにもないものを持っていました。そう、情熱です。


 このお話がその情熱だけを贔屓ひいきにして讃える物語でないことは、エンディングを見ればわかることでしょう。ただ同時に、〝理想のサンタクロース〟という偶像を支えるものはこうであってほしいという願いの刻まれた物語でもある。そう、なんといったって理想なのですから。




 ヒゲなし若サンタもいいね! 明日はもっと強い変化球!? ではではメリー・クリスマス!!

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