No.4 子どもの相手は楽しいことばかりじゃない。『クリスマス・ウォーズ』

メリー・クリスマス! 今日は4本目のサンタ映画! はてさて?




『クリスマス・ウォーズ』


(2020年・アメリカ・100分・Prime Video, U-NEXT, 他)



【あらすじ】

 近頃の子供は“わるい子”が多すぎる! おかげでサンタは仕事が減り、政府からの助成金を減額され続けていた。クリスマスを続けるため、サンタはエルフたちのオモチャ工場で軍用兵器の製造を受注することを決める。一方その頃、サンタに“わるい子”のあかし・石炭を贈られた金持ち坊ちゃまのビリーは、サンタに執着する殺し屋・ミラーにサンタ殺しを依頼する……。



【解説(ネタバレあり)】


 あらすじが正気とは思えない? ご安心ください。サンタ役はメル・ギブソンです(そこじゃないw)

 2020年(日本では2021年)突如として現れたファンキーすぎる設定のサンタクロース映画。あまり評価が高くありませんがそれもそのはず、実際にフタをあけてもなかなかにカオスでシュールな作品です。Wikipediaではダーク・コメディと呼ばれていますが、笑えるかどうかはあなた次第(笑)


 見所は、明らかに強そうなメルギブサンタ以上に、生えぎわが気になる殺し屋ミラーくんですね。(ウォルトン・ゴギンズさんだよ! 顔が濃い!)

 ビリー坊ちゃまとは違うかたちでサンタに恨みを持っているのですが(むしろ元〝いい子〟だったようです)、こじらせにこじらせた結果だいぶ気持ち悪いサイコパスに育ちました。依頼料は依頼主その他がかつてサンタにもらったプレゼントのみ。他人のサンタ・プレゼントをコレクションしてうっとりするのが日課です。


 そんな彼が、悪の坊ちゃまをパトロンに得てついに本物(サンタクロース)を捜索開始! 彼は変態ですが、容赦のない凄腕でした(そんなに殺しまくって足がつかないのかよと思いながら)。いくつかの偶然も重なったといえ、なんと見事にサンタの隠れ家を見つけてしまいます。

 なお、その頃にはサンタの工場は米軍の管理下に置かれ、派遣された米兵たちが警備を固めていました。しかし執念のミラーくん、サンタを殺すため極めに極めたテクニックで単身潜入するのです。VS本物の米軍一個小隊。本格スニーキングアクションと破壊工作! すげえ!


 このあたりでもうなんの映画かまるでわからなくなっているのですが、最後はミラーくんが念願のサンタへとたどり着き、一対一のガチンコ対決に。ここで驚愕のちょっぴり切ない真実が明かされ、勝負も驚きのかたちで決着がつきます。



 このお話に教訓があるとしたら、なんでしょう。

 「希望を抱かせる者に裏切られたと感じたとき、恨みは何倍にもなって矛先が向く」それはそうです。だからこそサンタクロース(のような立場の者)は、概ね相手の一生と付き合うことにもなりうる宿命にあります。それは明るい話の場合もあれば、時に〝戦争ウォー〟となるのです。やっつけの邦題に思えますが(原題は "Fatman")、最後まで観れば〝ズ〟と複数形である理由もわかった気になれます。

(原題も、サンタでないただ一人の存在として、ある普遍的な宿命を描いているという意図かもしれません。サンタって大変なお仕事ですね……)



 コメディはコメディですが、爽快に笑えるというよりカオスでシュールな作品。また、オーソドックスなサンタクロースの設定を、ある種のリスペクトとしてこれでもかと皮肉っているところは面白いと思います。そういうフレッシュな斬新さに興味のある人はいかがでしょう?




 バリエーションが増えてきました! 残る三日はベスト3! メリー・クリスマス!


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