No.2 誰も憎まない。それがサンタスピリット!『サンタ・ボックス』

 メリー・クリスマス! おうちでキネマ2023はサンタ映画特集! 今日は2本目!



『サンタ・ボックス』


(2020年・アメリカ・101分・Prime Video、U-NEXT)



【あらすじ】

 〝クリスマスに呪われている〟女の子ケイリー(十代半ば)は、今年もクリスマス直前に火事に遭い、新居と新学校でゼロからリスタート。向かいの独居老人・オットーとは仲良くなるも、彼はご近所で「元ナチス」と噂されていた。そんなケイリーのもとへある日、「願いごとを入れれば叶う」と自称する『サンタ・ボックス』が届く……。



【解説(ネタバレあり)】


 二発目でいきなりですが、「本物のサンタクロース」は出てこない作品です(7本中では唯一)。「本物かもしれない」でもありません。けれど、人類では最高の「サンタクロース」の一人に連ねられる人物が出てきます。


 あらすじにある「サンタ・ボックス」はファンタジックな代物かと思いきや、これも現実的なアイテム。ケイリーの家の玄関に誰かが置き、そして彼女が入れたリクエストを誰かが回収する。本当に頼んだとおりの〝願いごと〟が届けられるのですが、どれもお金で買えるものばかりです(非常に高額だったとしても)。


 いったい誰がサンタ・ボックスを?


 観なければ疑わしいのはオットーでしょう。亡き妻を思い暮らし、花を慈しんで世話を焼き、人を憎むことをしない、とても美しい心を持つ人物です。サンタクロースにふさわしい!

 けれど、彼は本当にヨボヨボのおじいさんです。歩くことも頼りない彼が、お向かいとはいえ夜中気づかることなく玄関に箱を置けるでしょうか? 噂のせいで嫌われていて、協力者もいなさそうな彼が……。


 その真相のことは置いておいて、劇中では別の話題も並走します。

 町内会で力を持つネリー夫人は、オットーが住んでいる家の土地を狙っていて、合法的に立ち退かせる手段を探っています(ええ、はい、悪役です)。また、ケイリーは転校先で女王のようにふるまうネリーの娘・リサのグループに誘われ、リサがえない同級生たちをいびるのを見て見ぬふりをしてしまいます。

 いずれも困難として二人に降りかかるのですが、ここでもカギとなるのはサンタ・ボックスです。また、それの〝使い道〟を考えることで、ケイリーは大切なことを学び始め、さらにオットーとの友情も深めていくこととなります。


 さて、サンタ・ボックスの仕掛け人は誰だったのでしょうか? そしてケイリーとオットーは、どのようなクリスマスを迎えるのか。

 本物のサンタクロースは登場しませんが、観ればきっと「これは確かにサンタ映画だ!」と思えて、心にしみる作品です。




 さぁ、クリスマスまであと5日! 明日はなにサンタでしょう? メリー・クリスマス!

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