クリスマスはおうちでキネマ2023 ~サンタ映画祭り🎅~

ヨドミバチ

No.1 はたらくサンタの1年間『ファーザー・クリスマス』

 クリスマスはおうちでキネマ2023!

 今年はオススメのサンタクロース映画を全7本をご紹介! 暑苦しい前説はトップページへ追いやって、早速参りましょう、一発目のメリー・クリスマス!!




『ファーザー・クリスマス』


(1991年・イギリス・27分・Prime Video)



【あらすじ】

 ある年のクリスマス、無事にプレゼントを配り終えたサンタクロースは、次のクリスマスまでバカンスへ出かけることを思いつきます。日曜大工でそりをキャンピングカーに改造! 寒いのが嫌いなサンタは、あたたかい保養地を目指して旅立ちますが……?



【解説(ネタバレあり)】


 一本目は30枠の短編アニメ映画。絵本風のやわらかいタッチ。内容もコミカルです。


 サンタビジュアルは、オーソドックスなまんまるボディ。

 性格も気のいい近所のおじさん(絶滅危惧種)風で、親しみやすそうなキャラクターですね。ただし、サンタなのに寒いのが大の苦手で、雪が降ると愚痴っぽくなります。


 あらすじではオフシーズン中のサンタのバカンス日記にとされていますが、シナリオは実は前後半に分かれます。

 落ち着けるリゾートを求めてあの国この国と行きまわるのは前半部分。どの国も最初は楽しいのですが、食事が合わなかったり期待していたものがそのとおりでなかったり、どうやら旅行慣れしていないサンタの四苦八苦する姿が見られます。


 そして後半はですね、もうバカンスおひらきなんです。

 ちょうど子供たちからの手紙が届く時期に帰宅して、次のクリスマスへ向けてせっせと準備を始めます。手紙の量がハンパなくて到底一人で対応できるようには見えないのですが、サンタは毎日毎晩コツコツと支度を進め、クリスマスにはいざ配達へと向かいます。

 いわば、サンタクロースの一年をのぞいてみよう、みたいな作品なんですね。



 で、この作品のサンタがユニークだと思うのは、浮世離れしたファンタジックなキャラクターでなく、地に足のついた〝労働者〟のように描かれている点です(もちろんソリは飛びますが)。


 オフシーズンにせかせかとバカンスへ行く。慣れない土地でちょっと四苦八苦しているうちに次のシーズンが来てしまう。

 おうちに帰ればせっせと働く。予定に間に合うよう、忙しい日々を送る。

 そして一番大事な仕事の日は、みんなの祝日なのです。


 一年で一番楽しい祝日の夜にも、休まず働いている人がいる。

 幸せなクリスマスは、そのような人たちによって支えられている。

 サンタクロースをモチーフにすることで、子供たちにそういう視線を持たせ、気づいてもらいたい。そういう狙い、ないしは願いが織り込まれているようにも見えました。



 配達を終えたと思ったそのとき、配り忘れがあることに気づいて急いで再出発するくだりもあります。

 愚痴っぽいサンタは言うのです。「誰にでも間違いはある」

 こういうところも、働いている人にやさしくあってほしい、そういうあたたかな願いに聞こえるのではないでしょうか。



 大人にも子供にも〝やさしい〟サンタクロース。しょっぱなからお勉強じみてしまいましたが、長く愛されている作品だけあると思った次第です。



 さぁ、画面の外にもサンタが来るまであと6日! 明日はどんなサンタでしょう?

 それではメリー・クリスマス!


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