S級探索者は敗北する
いろいろと起こったが何とかガチイベ初日を終え、その後の二日目と三日目もつつがなく終わった。
二日目はお絵描き企画と投げられたポイントの秒数でリクエストを受け付けるという物であり、三日目は500ポイントでルーレットを回せ、世界一酸っぱいガムや甘い飴などの罰ゲームだったり、高級お菓子やジュース(提供は宗谷が事務所棟して送った)などご褒美がランダムで決まるゲームなどをしていた。
他の参加者のほうを見ても初日のように急激にポイントが上がるということはなく、いつも通りの平和なイベントとなっていた。
そして四日目の夜。
「さあ、じゃあ四日目!みんなが待ちに待ったガチャイベントやっていくよー!!」
『イェーーーーイ!!』
『待ってましたぁ!!』
『さあ、投げるぞぉ…!』
『今回も詳しい内容はSNSのほうにあるかな?』
「うん、きちんと告知してあるよ、もう一回リポストしておくね」
その言葉の通り彼女のSNSにガチャの内訳が流れる。
「さて、まあ詳しいところはSNSのほうで確認してもらうとして、大雑把に説明しちゃうね。ガチャは一回500ポイント、5000ポイントで11回転。3万ポイントでSSRまでコンプ。内訳としては、RがSNSやこの媒体で使えるアイコンリングやヘッダー。SRがスマホ壁紙やPCやタブレット用の壁紙、SSRがコンビニで印刷できるネットプリントだね。そしてURはグッズ各種!アクリルスタンドにアクキー。あと缶バッジだね。こっちはロット数の関係もあるから当選した人の数次第で受注するからね。そしてそれよりさらに上のLR!これは作成に時間とお金がかかっちゃって数が用意できないから申し訳ないんだけど、特性マウスパットに抱き枕カバー、タペストリーが各2個ずつ!そしてこれは一つしか作れなかったんだけど…今回は限定フィギュアもあります!」
『フィギュア!?』
『作れたの!?』
「うん、おかげさまでね。どんな感じSNSのほうにあげてあるからねー。じゃあさっそくやっていこうか!」
『開幕だぁー!(゚∀゚)』
企画の説明が終わったので真っ先に10万のギフトを投げる。
「クロウさん早いよ!!」
『いつもの』
『知ってた』
『ガチャ枠と言えば開幕これよな…』
「みんな慣れすぎな気がするんだけど…」
『開幕の花火です(゚∀゚)』
『えーっと、これ10万だから…何回転だ?』
「えっと5000で11回転だから…一万で22回転…それを10倍だから…」
『220回転?』
『初手から飛ばすねぇww』
『これだけあればせめてURを一つ…!』
『この人…自分の運のなさを数でカバーしようと…!』
『悲しいこと言うのやめたれ(´・ω・`)』
「いや、さすがにこれだけ回せば出てくるよ。じゃあ一回で20回までしか回せないからそれを11回やるね」
『その間に投げても大丈夫?』
「うん、いいよ。あ、クロウさん一応カウントお願いしていいかな?」
『ういういー』
頼まれたのでメモ帳を取り出してギフトのカウントを始める。結構な人が投げるので、忘れたりしないために書き込んでおく。
「じゃあいくよー」
ガラガラとガチャを引く音が聞こえる。
まあ、ガチャを引くといってもスマホでそれ用のアプリがあり、それで確立を設定して回数指定して引いているだけだが。
「じゃあ結果読んでいくね。えーっと…ヘッダーA。ヘッダーB、ヘッダーA、ヘッダーD、ヘッダーG…」
『あっあっあっ』
『これはやはりヘッダーガチャだった…?』
「ア…アイコンリングも出てるから…」
『なおすでにすべてそろっている模様』
『なぁに、これくらい想定内さ…』
『さすが過去にヘッダーガチャを乗り越えた者…面構えが違う』
『いやあれただの虚無顔じゃね?』
そんなコメントが流れつつもガチャは引かれていく。
「とりあえず一回目の20連はこれで終わったけど…全部Rだったね…」
『せめて一つくらいSRかSSR出ると思ってたけど…』
『なぁにこれくらい想定内さ(血涙)』
『セリフと心情があってないようなんですが…』
『ま、まあまだ200連あるし…』
「そ、そうだね!気を取り直して次の引こうか!」
『あ、みらいちゃん、その間に投げた人はどうする?』
「クロウさんのが引き終わったら順番に引くからその時にまとめて教えてくれる?」
『ういういー』
とりあえず投げた人とポイントのほうをメモりつつガチャの結果を聞いていく。
しかし、そのほとんどがRかSRであり、たまにSSRが出てくる程度だった。
『今何連目だっけ?』
『160連終わったあたりだね』
『クロウさん生きてる…?』
『ふふふ…たかが致命傷だ…』
『あ、ダメそう』
「クロウさん諦めないで!まだ40連あるから!!」
『せやねぇ…_(┐「﹃゚。)_』
『クロウさんが溶けてきてる…!』
『やめて!ヘッダーガチャによってポイントが焼き払われたら、期待しているクロウの精神も燃え尽きちゃう!』
『お願い!死なないでクロウ!』
『あんたが今倒れたら、みらいちゃんのガチイベはどうなっちゃうの?』
『ポイントはまだ残っている。ここを耐えればまだ投げることができるんだから!』
『次回『クロウ死す』』
『デュエルスタンバイ!』
『勝手に殺すな(´・ω・`)』
『というか息ぴったり過ぎて面白すぎるwww』
「なんだっけ?昔のアニメの予告なんだっけ」
『そそ、ネタバレ次回予告』
『懐かしいなぁ…と言えるほど時間たってるのが悲しい(´・ω・`)』
『みらいちゃんも知らないあたり世代を感じてしまう…』
『言うて俺も動画で見ただけだけどね』
「それじゃあ続きのガチャ引いていくねー」
そう言ってまたガチャのSEが聞こえてくる。
「えーっと。アイコンリングA…ヘッダーF…アイコンリングG…あ!」
『お?』
『来た?』
「UR、缶バッジA!おめでとうー!!」
『グッズキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!』
『とうとうクロウさんがURを引いたー!』
『おめでとー!!』
『やったぜ…報われた…!』
「残りは…ほとんどRだね。とりあえずクロウさんは缶バッジAだね。メモっておかないと」
『よし、じゃあおかわりはいりまーす』
「軽いノリで投げる金額じゃないよ!?」
『フィギュアが!出るまで!投げるのをやめない!!(゚∀゚)』
『これがガチャの沼か…』
『恐ろしや…』
そんな調子でいろんな人のガチャを回しながら、4日目のガチャ枠は過ぎていく。
さて、枠の開始が21時。そして現在午前2時。
枠が始まってから5時間が経過し、いろんな人が来てガチャを回していった。
そしてフィギュアを狙っていた宗谷はと言うと…。
『0(:3 )~ ('、3_ヽ)_』
『先生、クロウさんから魂が抜けてます』
「クロウさーん!?もう無茶しすぎなんだよ…」
『クロウさんどれだけ投げたの?』
『えーっと…履歴見た感じそろそろ500万に到達しそうなんだよね…』
『それだけ引いてフィギュア出てないってすごいよね…』
『URはたくさん引いているのにね…LRだけは一つも引けてない…』
『他の人は引けているのに…』
『これが…物欲センサー…!』
『おのれ物欲センサー…概念すら倒せるようになれれば消し飛ばせるだろうか…』
『あかん、クロウさんが追い込まれすぎてやばいこと言っている』
『概念じゃなければ倒せるんだろうか…』
『そこは触れないでおこう、なんか怖いし』
『そだね。みらいちゃん、私も引いていい?』
「うん、いいよ。ちょうど今空いているし」
『あ、俺も投げます…0(:3 )~ ('、3_ヽ)_』
「クロウさんは一旦落ち着こう?毎回投げている金額大きすぎるんだよ?」
『まだだ…!まだ終わらんよ…!』
「もう…無理だけはしないでね?じゃあ取り合えずクロウさんは後回しにして、先に今投げてくれた分回しちゃうね。1000ポイントだから二回だね」
ガラガラと聞きなれたガチャSEが聞こえてくる。
「えーっと、SRスマホ壁紙A…あ」
『え?』
『お?』
『どうした?』
「えーっと…すごい言いにくいんだけど…」
『まさか…』
「LR、限定フィギュアが当たりましたー!」
『うそwwww』
『まじかwww』
『どぉぉぉぉしてだよぉぉぉぉぉ(´;ω;`)ブワッ』
『これが…物欲センサー…』
『欲している人には当たらず、別の人に当たる…』
『えっと…クロウさん…なんかごめんね…』
『ええよぉ…(´;ω;`)平等なガチャの結果だもん(´;ω;`)』
『なお言葉のわりにダメージはでかい模様』
『そりゃあれだけ投げてたのに手に入らなきゃダメージはでかいよ…』
『フィギュア当たってうれしいのに素直に喜びきれない…』
『それはすまぬ(´・ω・`)まあ、でもこればっかりは運だから仕方ないよ。大事にしてあげてくだしあ…』
「あはは…そうだね。結構作りこまれているみたいだから届くの楽しみにしててね」
『ちなみにまたそのうちフィギュア作ったりするの?』
「そうだね…。欲しがっている人もいるし、今度は累計のほうで出そうかな。その分ちょっと高額になっちゃうかもだけど…」
『上限がわかっていれば問題はない!』
『まあ、これだけ投げればね…』
『2位の人と400万ほど差ができてるよ…』
『頑張った(゚∀゚)』
「まったくもう…。でも、ありがとね」
『うい( ˘ω˘ )』
「さて、じゃあもうちょっとだけ続けようか。クロウさんがさっき投げた分もあるしね」
『そういえば他のLRは狙わないの?』
『他のは全部すでに所持済みだから…』
「そうだね…。結構長く応援してくれてるからね」
『さすが最古参勢でガチ勢…』
「そうだね…。最初のころからずっと応援してくれているもんね」
『だねー( ˘ω˘ )まあ、まだイベントも途中だし、油断せずに最後まで楽しもうか』
「そうだね。じゃあ残りのガチャ引いちゃうよー」
ガチャ音を聞きながら夜が更けていくのであった。
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