第15話 困ったこと

お客さんに申し訳ないとは思うが、困るときがある。例えばお客さんが建物やホテルのおぼろげな名前か間違った名前のみを告げてきて、心当たりがあるが確認したいので住所を聞きたいというと有名な建物(ホテル)だから覚えてないというケースだ。

わかりやすい実例をあげるなら、品川駅高輪口の近くにはプリンスと名前に入るホテルは三つ存在する。だから品川駅にあるプリンスのホテルで正式名称も住所もわからないとなれば、品川駅高輪口近辺につけてあとは徒歩でお願いしますとなってしまう。

ビジネスホテルも同じ系列で同じエリアに複数あることもままあるので、○○駅近くの△△ホテルだけでは特定できないことがある。一字一句省略していない正式名称(略称や不正確だとナビの検索も複数候補がでるのであまり意味がない)か、住所のどちらかは把握しておいていただきたい。


これはお願いというよりアドバイスになる。手を上げてタクシーをとめるときには、体はとめたいタクシーに向けるようにしたほうがいい。私と一台前に空車のタクシーが連続して走っていたときに、歩道の人が車道に背を向けたまま右手で私の前にいたタクシーにいわゆる指パッチンのポーズをした。前のタクシーは手を上げられたとは思わずに素通りして、その人が少し慌てたそぶりを見せたので私も手を上げたのだと認識できたということがあった。


もう一つお願いしたいことを思い出した。道路交通法の違反をするように言ってこないでほしい。いまだに、乗車定員を一人オーバーした人数を一台で乗せてほしいという人がいる。あと、黄色信号と赤信号の変わり目で止まろうとすると不機嫌になる人もいる。

そういう人は「捕まったら責任もって違反金払うから」などといいがちだが、免許の点数や関係各所への手続きやヒアリングなど発生しうるもの全部肩代わりしてくれるわけもない、こちらの事情を本気で考えないで軽くいってくるところが頭にくる。

杓子定規にいえば法律に違反するような指示は聞く必要がないし、そのような主張を繰り返すようなら運行を中断してもいいことになっている。

とはいえ、穏便に済むならサラッと受け流してそのままさっさと降ろして次のお客さんを探しに行こうと思っている。

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