前のエピソード――第13話　ファン心理って

近頃の話になるが、支払方法の種類がかなり増えた。クレジットカード、交通系ICカード、配車アプリによる支払、電子マネーなど、使えるものをドライバーが把握していないこともしばしばある。そしてカードリーダーにも非接触型がでてきたし、QRコードを車内端末のカメラにかざすことで決済するパターンもでてきた。

そんなことが出てきたころの話になる。あるお客さんがQRコード決済を希望されたので、準備したところ「じゃ、これで」と私の顔に向けてQRコードをかざしてくる。いやいや、私QRコードを読めないんでと笑ってしまいそうだった。しかも、決済端末が機械音声で「こちらにかざしてください」といっているにも関わらず、だ。

しばし固まってしまったが、それ以降「そちらの決済端末にQRコードをかざしてください。」というようにしている。

また別の人で、QRコード決済希望とのことで乗車した後に清算する段階になって

「どう操作するかわからないから教えてくれ」といわれたのだが、よくよく聞いてみると支払用QRコードの表示方法がわからないということだった。車内の端末ならともかく、お客さんのスマホの操作方法はさすがにわからない。しかも、「現金持ってないから」などといってくる。悪戦苦闘して何とか決済した。

新しい方式で便利になるかとおもいきや、普通に現金とクレジットカードのみだったころのほうがやりやすいなと思った。