オレは幼馴染が嫌い…というか、大っ嫌いだ‼︎
猫の集会
嫌いです
毎朝オレは通学するのに、バスに乗る。
そこでいつも窓越しに目にするのは…それはそれは美しい容姿の美少女だ。
彼女は、颯爽と青空の下を髪をなびかせて歩く。
サラサラのロングの黒髪。そして、細くて長いあし。
目は、二重だけどクールな切れ長な目。
そんな女性を毎日、目で追う。
そしておもう。
毎朝、歩いてごくろーさん、と。
そんな彼女は、オレと目が合うとまさかの…まさかのあの容姿からは想像もできないことをしてくる。
何って…オレに向けてあっかんべーをしてくるのだ。
…美少女がそんなことしたら台無しだ。
そんな彼女をオレはバスから肘をつきながら、なんのリアクションもせずただガン見。
そして学校に着くと…いる…
門の前にあの美少女が。
そしてオレに声をかける。
「あんたやっぱりアホだね」
と。
‼︎
アホだなんて‼︎
朝は、まず発する言葉は…アホじゃない。
「朝は、アホじゃなくておはようからはじまるんですよ?あなたこそアホじゃないですかぁ?」
と言い返してやった。
そもそもなぜバスのオレが徒歩の美少女よりも遅く学校に到着するかというと、実は…
バスに乗ると学校を通り越してしまうんですね。
でも、オレはバスに乗りたいのだ。
あったかいし、雰囲気が好きなんだよねー。
でも、それをアホだという美少女は…アホだ。
「お弁当」
美少女がまたオレに話しかけてきた。
「え?まだ昼じゃないよ?食いしん坊か?」
とオレが美少女にいうと、
「違う!ひろと、またお弁当忘れたからひろとのお母さんから預かってきた。」
と、渡された。
チクショー‼︎
バッグ軽いと思ったぜ。
奴とは関わりたくなかったのに。
「おぉ、サンキューな。」
と言い残すとオレは足早に教室へと向かった。
そう、あの超絶美少女は…オレの幼馴染だ。
そんな幼馴染をオレは嫌いだ。
なんなら、あんまり関わりたくない。
なのに、なのに…またオレの不注意で…また関わってしまった。
もうお弁当は、一年分前もってバッグにしまっておこうと心に決めた。
非常食なら悪くならないだろう?
そう考えて歩いていた休み時間…
げっ⁉︎
また奴が登場!
オレは幼馴染に話しかけられたくない。だから睨みをきかせて話しかけないでくださいオーラをプンプンと漂わせた。
すると、オレを素通りする幼馴染。
あーよかったー。
たみこに話しかけられなくてよかったー‼︎
清々しい風を浴びながらオレは大きく深呼吸した。
すぅーーーっ
グヘッ
大きく深呼吸したばっかりにむせた。
それを振り向いて見ていた幼馴染のたみこが笑った。
クッソ…
見られていた…
「
とオレの隣にいた友達が言った。
玲那さん…?
あれは、たみこだろ。
オレは心の中でそう呟いた。
そんな大嫌いな幼馴染から、なんとか話しかけられないまま学校が無事終了。
「うんめ〜‼︎」
オレは、トロトロのプリンを堪能していた。
「おかわりくださ〜い‼︎」
「ひろと…お腹こわすよ?」
「はぁ?そうやって、たみこは…独り占めするのか?オレのおやつを妨害して…自分だけ…この食いしん坊めっ!」
「てか、そもそもここ、うちの家だし。」
「それは…ドンマイ♡」
「キモっ」
「ほらほら、喧嘩しないの」
とたみこのお母さんが仲裁に入った。
オレは、たみこが大嫌いだ。
でも、お母さんの手料理お菓子は、だぁいすきなのです。
「ひろとって…学校と家じゃ態度全然違うよね?」
「あー…だって、学校のたみこは…たみこだから…」
「なにそれ、意味わかんない」
…わからなくてもいいのだ。
たみこは、学園のアイドル。
そんなオレがサブでついていると…たみこの評判が落ちるだろ。
それに、なんだあいつ?彼氏?違うだろ…?召使かなんかだろって言われてもう…オレの♡《ハート》ちゃんは、ズタボロなのさ。
もう…♡《ハート》がピンクちゃんからドブに落ちた色になっちゃってるんだからね?
わ・か・る?
って言ってやりたいもんだ。
でも…たみこが全面的に悪いわけでもない…からな…。
まぁ、悪いのは周りの人間とオレだ。
そんなこんなで毎日オレは、バスからたみこを眺める。
するとたみこの横にスッと息をするようにイケメンが現れた。
…でた、イケメンエイリアンめ。
あのエイリアンは、人喰い男だ。
やつにマークされると必ずどんな女性もエイリアンの虜になるらしい。
たみこもエイリアンの虜になる…のかな。
もうその日のうちに噂は、広まった。
エイリアンとたみこが付き合い出したってね。
…まぁ、それはすごいスピードで噂が広まったよね。
きれいなテーブルに牛乳こぼして、一瞬でテーブルがミルクまみれになったくらいにね。
…
なんか…なんかオレ…胸騒ぎがするよ?
だれかオレの♡を荒らしてる?
落ち着かない。
頭で、たみこたみこたみこたたみこって連発してる。
たみこ、たたみこ…
オレは学校の廊下でたみこを見かけてつい…
「たたみこ…」
とぼやいた。
「ふっ、久しぶりに聞いた。たみこじゃなくてたたみこって。」
「…あー。」
…オレはなんでたみこに学校で話しかけてしまったんだ。
クッソ…
また、変な噂や嫌味が飛び交うか?
…と、思っていたらオレたちのことをだれも噂しなかった。
なぜなら、オレはたみこと話していてもゴミクズの埃がたみこのまわりで飛んでいるだけの存在になったからだ。
だって、たみこにはイケメンエイリアン彼氏がいるのだから、こんなオレなんかダニ状態。
みんなには、見えない存在なくらいどうでもいい人間らしい。
だから、もう学校でたみこを睨むのもやめた。
普通に話もするようになった。
「今日のおやつなにかなぁ」とかね。
たみこは、エイリアンともよく話す。
そして皆はいう。
美男美女カップルは、絵になるってね。
そんな日々を過ごしていたらいつのまにかバレンタインデー。
たみこは、オレに毎年チョコをくれる。
いつもは…薔薇のチョコをくれる。
チョコを薄〜く何枚もつくりうまく、くっくけて花にするのだ。
パリパリでバリウマだ。
なのに…今日くれたのは…ハートの形だった。
…アホな、たみこ。
これはエイリアンにあげるやつだろ…‼︎
…急いで返さないと。
「たみこ、チョコ…返す」
「えっ?」
「ほら」
…
チョコを受け取り涙ぐむたみこ。
薔薇のチョコをエイリアンに渡して落ち込んでしまったようだ。
「たみこ…薔薇でもいいじゃん!アレもうまいし」
…
「…ハート」
…どうしてもハートが渡したかったらしいたみこ。
「薔薇もいいぞ?落ち込むなよ」
「やっぱり…薔薇がよかった?」
「あー…」
なんて言えばいいのか…
「薔薇なら食べてくれた?」
そりゃ…彼氏のチョコと間違えられてなかったら…くっただろうな。
「うん。ま、また後で作り直せばいいじゃん!な?」
オレのアドバイスにたみこは、頷いた。
明日は土曜日だし作り直して彼氏に渡せばいいのだ。
そして…次の日という土曜日は、あっという間にやってきた。
「ひろとー、れなちゃんきてるわよー」
と、母親がオレに言った。
れなちゃん?
だれだよ……
…
あー、たみこか。
たみこは、本当は玲那という名前だ。
でも、オレのばあちゃんちに一緒に遊びに行った時、畳が大好きでずっとゴロゴロ転がってたからそれ以来オレは玲那をたみことよんでいるのだ。
たみこのやつ…のんびりしてないで早くエイリアン彼氏の元へ行けばいいのに…
「なに、たみこ?」
「これ…チョコ。薔薇だよ?ちゃんと作り直した。」
⁉︎
は?
わざわざオレのまで⁉︎
オレはなぜか無性に…たみこを抱きしめたくなった。
…でも、そんなことできるわけない。
「わざわざいいのに…でも、サンキューな」
「…うん。もうハートなんかくつらないから安心して。」
「えっ、つくんないの?間違えなきゃいいだけじゃね?」
…
「…間違えてないし」
⁇
あー、じゃあ、オレも彼氏も今年はハートだった⁇の?
…⁇
じゃあ、彼氏にハート渡せた⁇
オレのは、愛情なしのハートだったのか…
「ごめん。二度手間させて…」
「ううん。ひろとチョコ好きだし…喜ぶ顔みたいから…」
…
わざわざそんな…
あー、でもわかるわー。オレはたみこにしたらペットなのかもしれない。
よく飼い主がペットが食べる姿が可愛くてつい見入っちゃうって話聞いたことあるわ。
なので目の前で美味しいよって言いながらチョコをいただいた。
そしてオレはたみこに、
「来年からは、オレチョコいいよ。」
とお断りした。
また、たみこが彼氏とチョコ間違えた?とかなっちゃったら嫌だし…彼氏も同じハートってわかったら嫌だろうからさ。
するとたみこは…
「うん…ごめんね…」
と泣いた。
えっ…?
なぜ泣くの?
まさかエイリアンになにか言われたとか?
「たみこ…大丈夫?」
「うん…うん、大丈夫。だって、ほんとうは…脈なしってずっとわかってたもん。」
⁉︎
エイリアンのやつ…たみこをもてあそんだのか⁉︎
バレンタインにフラれたのか⁉︎
新しい女にのりかえたのか⁉︎
「あのヤロー‼︎オレ文句言ってくる」
「え?だれに?何を?」
「エイリアンに、オレのたみこを泣かせるなって」
「エイリアン?」
「そうだよ、たみこの彼氏の
「…如月くんとは、付き合ってないよ?」
…
⁇
え?
「なんて?」
オレの耳は、いつのまにかエイリアンに喰われたのか?
付き合ってないって聞こえてしまった…よ?
「だから、如月くんと付き合ってない。好きな人いるからって断ったの。」
…
へー。
ふーん。
「好きな人いたんだ…?」
「うん。」
たみこの好きな人か…。
オレはたみこが大嫌いなはずなのに…なんだか切ないのは、♡が…オレの♡が壊れているせいだろうか…、、、、、
「し、幸せに…なれよ…」
なぜか心から言えなかった。
「…なれるかな?」
「…わかんないけど、なれるよ。たみこは、優しくてきれいな心もってるし」
…
「外見…」
「えっ?」
「かわいいとか美人とか外見じゃなくて内面ばっかり褒めるね。」
…
「あ、外見もかわいいよ。てか、超絶美人なんだから自信持てよ」
…
「じゃあ、なんでふったの?」
ふった?
オレチョコ食べてるときしっぽフッたのかな?
「え?何を?オレしっぽ…ふった?」
「しっぽなんかはえてないでしょ。わたしのチョコ返したってことは…気持ち受け取れないってことなんでしょ?」
⁇
「えっ?」
あれって…オレに?だった⁇
オレを⁉︎
たみこって、オレのこと好きなの⁉︎
えっ⁉︎
「オレ…たみこ…いや、玲那のこと…嫌いってか、大嫌いだった。」
「やっぱりか。」
…
「でも、玲那自身じゃなくて…玲那の周りからじろじろ見られて評価されるオレが嫌いだったって気づいた。玲那…キスしていい?」
「うん。」
キスの味は、チョコレート味だった♡
「玲那、いままでごめんね。」
「ううん。でも…今まで睨んできた分キスして欲しい…な。」
と言われたので、何回キスしたかわからないくらいとけるようなキスをたくさんした♡
おしまい♡
オレは幼馴染が嫌い…というか、大っ嫌いだ‼︎ 猫の集会 @2066-
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます