7手目 ヒーローとは孤独なものだ!

ビビーッ!

ビビーッ!

ビビーッ!


続いて、左腕の方から別の音が鳴り響く。

これは、時計型トランシーバーのものだ。



ガチ:「はい...。」


??:「魔源消失!ガチャガチャマンか?どうぞ。」


ガチ:「0721。たぶん、やっつけました...。どうぞ。」


??:「魔源核は破壊したのか?どうぞ。」


ガチ:「いや、よくわからないです。なんか丸いの握ったら潰れました。どうぞ。」


??:「それが魔源核だ。よくやった!そちらにアライハルカス100がもうすぐ到着する。どうぞ。」


ガチ:「ラ。あ、そうなんですか。アラなんとかって何ですか?どうぞ。」


??:「アライハルカス100は、ヒーローだ。彼女も陽動に加わる予定だった。どうぞ。」


ガチ:「ラ。ああ...じゃあ、会ったら挨拶します。どうぞ。」


??:「だいぶ疲れているようだな。本部で回復を受けなさい。どうぞ。」


ガチ:「ラ。わかりました。死にかけました。どうぞ。」


??:「うむ。危険はつきものだが、無理は禁物だ。本部で会おう。以上。」


ガチ:「ラ。」



。o(マジ死ぬかと思った。)


。o(マジやべぇ。)


。o(なんだこの仕事。)


。o(いくら貰えるんだっけ?)


。o(もうよくわかんねえや。)


。o(100万?1000万?そんぐらい貰っても死んだら意味ねえや。)


。o(これっきりで辞めよっかな...。)


。o(いやでも、安全策で突っ立っとけばこうはならなかったかもしれん。)


。o(はあ、とにかく帰ろ。)


。o(あ、本部に寄って報告と、あと、風呂入りたい。)


。o(回復って何してもらえるんだろ?)


。o(まあいいや、行けばわかるだろ、はあ。)



つらつらとそんな事を考えながら自転車に向かう。

目の周りのヘドロが取れて、だいぶ見えるようになってきた。



。o(あ、誰か居るな。)



自転車の向こう、数m離れた位置に人が立っている。

近付きながらよく見ると、コスプレしている女性のようだ。



。o(あれがアライカッスヒャクか。)



その人もこちらを見て、歩き始めた。

しかし、途中で立ち止まった。



。o(ん?敵だと思われている?)



ガチ:「ガチャガチャマンです!魔ジんはやっつけました!」



そう言って、自転車を通り過ぎ、歩きながら右手を下から出し、握手を求める素振りをした。


すると...



アラ:「こっち来んな!臭ぇ!!帰って風呂入って寝ろ!!」



。o(酷ぇ。いくらなんでもそれはないだろ。)



ガチ:「あのですねえ、私は死にかけたんですよ!それを初対面で...」


アラ:「わかったからこっち来んなオ゛エ゛ェロロロロロ!!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る