2手目 街を汚す事は許さん!

肛門様が、ご括約のうちは耐えられるッ!

しかしそれも限界は近い。



。o(女子トイレの方なら空いているかも!)



それは本来、禁忌とされている。

だが、今は緊急事態だ。


ケツにキュッ!と力を入れ、外に歩き出す。

反対側の女子トイレの入り口へ向かうと、ちょうど中から人が出て来た!



ガチ:「あッ...。」



その人=女性と目が合った。

スッ...と視線を外し、その女性は足早に去って行った。



。o(とても...気まずい...。)



まだ入ってはいないし、自分がそっちに歩くのも、さほど不自然ではない...はず。

いやでもさすがに女子トイレはまずいかも!

ヒーローなのにデビュー前に逮捕されるかも!


こうなったら野...と考えた時、男子用の入り口から人が出て行くのが見えた。

個室が空いたはず!!

急いでそちらに向かおうとした瞬間、肛門様がオープンしそうになった。



。o(はうっ!)



出てはいけない波動を感じ、慌てて肛ゲートを再び閉じる。

以後、極端な内股で歩き、男子トイレの個室に入った。



。o(ふぅーっ。)



誰にも聞かれたくないヤバイ音と共に、自らのゲートをフルオープンした。

隣の個室に男性が居るのは間違いないから、「たくない」という気持ちと現実は逆の結果となっている、間違いない。


ペーパーを多めに使い、消毒液を染み込ませ、慎重に事後処理をする。

入った時より清潔に、それが私のモットーだ。



。o(はっ!)



それはそれとして、世間の緊急事態は継続している!

急いで戦闘服に着替えねば!

トランシーバーで伝えた「5分」は、もうとっくに過ぎている。

デビュー初日から遅刻とは、日本社会においてクソ扱いされる事柄ではないか!



。o(まあ、クソしてたんですけど。)



そんな事を考えつつも、戦闘服の装着は完了した。



。o(急がねば!)



こうしている間にも、魔ジんは市民を脅かしている。

ヘドロ魔ジんなる名前からすると、あちこちをヘドロまみれにして汚染しているに違いない。



。o(今行くぞ!!)



愛すべき街が汚されていくのを、一刻も早く止めなければ!!



。o(ハッ!!)



自転車を勢い良く走らせ始めたその時、重大な事実に気が付いた。

愛すべき街の、公衆トイレの個室便器の内側を汚したまま、その汚染源を私は流し忘れている!!



。o(いかん!戻らねば!)



疾走する自転車が生み出した風に乗り、戦闘服のマントがたなびく。

悪に屈さない正義を体現したその姿、街の人々を守るヒーローは、再び公衆トイレの中に入った。


そしてヒーローは、またしてもレッドを目にしたのであった。

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