第12話 呼び出し

月曜日の朝、家を出る前に「体調いかがですか?」とメッセージを送った。

仕事の合間に机の上に置いていたスマホを何度か見たけれど、既読はつかないままだった。


火曜日に本が届いて、お礼のメッセージを送ったけれど、それも既読はつかなかった。




「楓月さん、7番に編集部の郡山さんから内線です」

「はい」


編集部の郡山さん?

ボイスレコーダー忘れた人だ。


「お電話代わりました。楓月です」

「編集部の郡山です。君が僕の代わりにボイスレコーダー取りに行ってくれた人?」

「はい」

「久遠遥のことで大事な話がある。今日7時に西原のTESSAって店で待ってるから、必ず来て」

「わかりました」

「住所は検索して。じゃあ」


もしかしてサインのことがバレちゃったんだろうか……

ハルキさんは内緒にするって言ってくれたけど、久遠遥の方が郡山さんに言ったのかも……あんなにたくさんサインさせられてきっと困ってしまったんだ。

でも、会社の中でじゃなくて、外に呼び出されるってことは、郡山さんから個人的に注意されるだけなのかな。



「楓月さん、そこ、スペルミス。エラー吐き出しちゃってるよ」


隣の席の久保さんがめずらしく声をかけてきた。


「すみません」

「ちょっと休憩入れたら?」

「大丈夫です。すぐ直します」



わたし、どこかで何か間違えてしまったんだ。

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