第6話 恋愛マスターはすごい ※白河直美視点

 私は白河直美!下桜高校の二年生!そしてそして、恋愛相談部の部長をしています!!

 恋愛相談部というのは、私と凛花ちゃん……あっ、凛花ちゃんっていうのは、私の中学からの親友です!面白そうなことを見つけちゃうと、ついつい暴走しちゃう私のブレーキ役でもあります!まー、そのとき、たまに頭を叩かれたりチョップされるんだけど、結構痛いです。それでも、こんな私のことをサポートしてくれる、優しくて大切な親友です!!


 あっ、話を戻して、恋愛相談部というのは、私と凛花ちゃんで作った部活です!元々は、運動部に入るほどしたいスポーツはないし、かといって、文化部で何か良い部活があるかと言われたら違うし、でも何かしらの部活に入らないといけないという校則があるし……と何の部活に入ろうかと頭を悩ませていると、凛花ちゃんが新しく部活を作ろうと提案してくれて、私たちが好きな恋バナをしたい!っということで誕生した部活です!文字通り恋愛相談が専門の部活で、お客さんは相談ができ、私たちは恋バナができるというWin-Winな関係の部活なのです!


 でも、全然お客さんが来てくれません……いや、正確には最初のほうは興味を示してくれた人たちが来てくれていたのですけど、良い結果が残せなくて……どんどんお客さんが減っていっちゃったんですよね。

 そもそも、私も凛花ちゃんも今まで恋人がいたことないのだから、当たり前ですよね!考えてみたらわかることです!……開き直ったらダメでますね……反省しています。


 そんなときです!彼が現れたのは!その日は、新入生の体験入部がスタートする日でした。その日も、私たちは部室でのんびりと過ごしていたのですが、ガラガラと部室のドアが開いたのです!お客さんだと思わずはしゃいじゃいました!だって、ここ数ヶ月、ロクにお客さんが来てなかったんですよ?嬉しいに決まっているじゃないですか!

 それで、入ってきた二人の男子は上履きの色が青であることから一年生のようですね。ちなみに、私たちの学年は赤です!

 それは置いといて、高身長で茶髪のイケメンの男の子が木ノ下勝斗君、若干青みがかった黒髪と瞳の優しそうな男の子が鯉川蓮君と言うとみたいです!

 そして、話を聞いてみると二人は入部希望者で、それも鯉川君は恋愛マスターと呼ばれているそうです!これは是が非でも、入ってもらわなくては!この部活は私たちしかいませんからね!

 そのあと、見事二人の勧誘に成功した私たちの元に、大森勇君という二人のクラスメートがやってきました。どうやら、恋愛相談をしに来たみたいです!!二ヶ月ぶりの仕事です!!やったー!!


 話によると大森君は、クラスメートの町田ちゃんに一目惚れをしたみたいです。もうこれは、告白してアタックするしかないですね!大森君も告白する気みたいですし、凛花ちゃんも乗り気になってるし。

 でも、それに反対した人が現れました。それはなんと恋愛マスターの鯉川君です!

 鯉川君によると、告白して距離を置かれたら進展しづらいとのこと。そっか、距離を置かれる可能性もあるんだ……考えてなかった。私は反省して、鯉川君の言葉に耳を傾けます。凛花ちゃんも同じように真剣な表情で聞いています。


 鯉川君のダメ出しとアドバイスが終わりました。正直、鯉川君の言っていることが難しくて、よくわからなかったですけど、凛花ちゃんは理解できたみたいです。すごい。

 恋愛なんてさっさと告白すればいいのにって思ってたけど、どうやら違うみたいです。でも、実際、私と凛花ちゃんが背中を押した人たちの告白は失敗に終わってますし、そういうことなのでしょう。……反省です。


 それから数週間が経ちました。

 大森君からの報告によると、町田ちゃんと一緒に図書委員なることができて、今ではよくおしゃべりしているみたいです。

 そして、鯉川君曰く、町田ちゃんは大森君のことが気になり始めているとのこと。

 あっ、もちろん大森君には言っていませんよ!鯉川君から、伝えたことで大森君が突っ走って空回ったらダメだからって口止めされているので!


 それにしても、鯉川君はすごいですね……本人は、ただ当たり前のことを言っただけと否定していますが……

 でも実際、距離が縮まっているのが目に見えてわかるからなのか、大森君は自信が付き始めて町田ちゃんにアプローチをたくさんしているみたいですし、もし、大森君が告白して、町田ちゃんが距離を置くようになったら、こうはならなかったと思います。

 やっぱり、鯉川君はすごいです!


 そういえば、大森君が部室を出ていった直後に、鯉川君が少し暗い顔をしていた気がしますが、どうしたのでしょうか?

 まー考えてもわからないので、いつか聞くことにします!

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