第3話 クラスメート

「ストップ! ストップ! ストッ~プ!」

「「――!!?」」


 俺とふーちゃんは「バッ!」と声がした方を見る。

 そこには、顔を赤くした担任――風祭かざまつり先生がいた。 いや、それどころか周りを見渡すと、顔を赤くしていたり涙になっているクラスメートたちが俺たちを見ていた。

 俺はそこで思い出した、ここが教室だと。


 やらかしたー! みんなの前で抱きあったり、プロポーズしたり、それどころかキ、キスしようとしちゃったー!!


 先ほどとは違い、恥ずかしさにより俺の顔が熱くなる。

 俺は思わずふーちゃんを見る。

 変わらず俺たちは抱きしめ合っているのだが、ふーちゃんも周りの視線に気づいたらしく、顔を真っ赤にしてプルプルと震えている。 可愛い。


「――コホン。 それ以上のことをされると嫉妬で殺意が湧くし、みんなも色々と聞きたいことがあると思うが、後にしよう。 時間がない……お前ら! 今から始業式だ! 急げ!!」


 風祭先生の言葉により、クラスメートたちが大急ぎで体育館に向かう。 俺もふーちゃんを抱きしめるのをやめて、体育館に向かおうとする。

 すると、ふーちゃんが悲しそうな顔をした。

 俺はふーちゃんの左手を握る。


「――!? ゆーくん!?」

「その、はぐれたら良くないから、な」

「うん! えへへ」

「~~~~っ!!」


 ふーちゃんの笑顔が可愛すぎる。 天使か? 天使なのか?


「って、体育館に急がないと!」

「あっ、そうだね! 急ご!」


 俺たちは大急ぎで体育館に向かった――



「で、どういうことか説明してもらおうか? 上山容疑者」


 二学期の始業式が終わり、今はHRの時間のはずなのだが、教室に帰ってきた俺はクラスメートの男子たちに囲まれていた。 ちなみにふーちゃんは、教室の端で俺と同じように女子たちに囲まれている。


「よ、容疑者って……いや俺は別に……」

「うるさいうるさいうるさーい! 俺たちの最後の希望を打ち砕きやがって!」


 黒髪のチャラそうな男子――秋川大喜あきかわだいきが泣きながら言う。 それに続くように他の男子も泣き始める。

 助けを求めて俺は修二親友を見る。


「ふっ、諦めろ」

「いや、助けろよ!」

「無理だ。 俺に止められる自信はない」


 この野郎!


 すると、秋川が俺の肩に手を置いた。


「俺は……夢前さんという天使が転校してきて、癒しが来たと思ったんだ。 この学年の女子のほとんどがお前に惚れている中、まだお前のことを知らない美少女がやって来たと。 それなら、お前より先に近づけば、ワンチャンあるかもしれないと!」


 俺の肩に置かれた手に力がこもるのを感じる。


「それなのになんだ!! 結婚の約束をしていただと!? 俺たちの期待を返せー!!」

「痛い痛い! 肩が! 肩が終わる!」


 俺はなんとか、秋川の手から脱出する。

 俺が周りの男子を見てみると――


「くそう、なんでこいつばかり……」

「うぅ、あの下北さんも告ったっていうし……」

「俺なんて、俺なんて……」

「うわああああん!」


 こんな感じで、絶望の表情する奴らと、


「あいつがいなければ、今頃七瀬さんと……」

「処す。 処す」

「ふひひ、どのように調理してやろうかな? ふひひ」

「こいつが童貞であるうちに、切るべきか?」


 嫉妬により殺意が駄々漏れの奴らがいた。

 いやヤバイ。 怖すぎる。 逃げるか。


 俺はどうやってこの場から逃げるかを考えていると、さっきまで大泣きしていた秋川が呟いた。


「まーそれはそれとして、おめでとう」

「――え?」


 さっきまで嫉妬で大泣きしていたやつからの、突然の祝いの言葉に俺は戸惑いを隠せない。


「いや、え? な、なんだよ急に」

「いや、だってさ。 前から告白される度に言ってただろ? 好きな人がいて、その人と結婚の約束しているって」

「――そうだけど」

「で、その好きな人の隣を胸を張って歩けるように、自分磨きをしてるって。 上山の頑張りは俺もよく知っている」

「――っ!」

「その好きな人が夢前さんなんだろ? なら、純粋に祝いたいんだよ、一人の友人として」

「秋川……」


 秋川の言葉に、俺は思わず目が熱くなる。


「それにさ、俺たちは上山に感謝しているんだぜ? なーお前ら」

「――え? それはどういう……」


 俺は秋川の言っていることが分からず、周りを見る。 すると、さっきまで絶望や殺意を漂わせていたはずの男子たちが笑う。


「そうそう。 俺が田中たなか先生に雑用を押しつけられたときに手伝ってくれただろ」

「俺は、体調が悪いときに気がついて助けてくれた」

「僕は……苦手な数学を教えてくれた……」

「小生の場合は、怖い先輩たちに絡まれているところを助けてくれましたな」


 みんなからそんな言葉が飛んでくる。

 そして、秋川が言う。


「まーだからさ、上山には確かに嫉妬とかはするぞ? でも、それ以上に感謝しているし、そんなお前の恋が実ったんだ。 祝いたくなるんだよ」

「……うぅ」

「改めて、おめでとう。 上山」

「「「おめでとう」」」

「ぐすっ。 お前ら~!」

「うおーい!? 抱きつくな! 抱きつかれるなら可愛い女の子がいい!」


 こうして、俺はクラスの男子から多くの祝いの言葉をもらうのだった――



 ちなみにその間、俺の親友である修二はというと――


「あれ? 俺の親友としての立場、無くない?」


 と、しょんぼりしていたという。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

【あとがき】


 どうも皆さんこんにちは! 果物太郎です!


 この作品、毎日更新にしたかったのですが……頭で思い浮かべている風景や状況を文章にするのは、やはり難しいですね。 かなり悪戦苦闘しています。

 それに最近金欠でして、バイトのシフト数を増やしてるので、時間と体力が足りないです。

 なので、この作品は不定期更新になると思います。


 せっかく、カクヨムコンに参加しているので、できる限り早いペースで更新するつもりですので、よろしくお願いします!


 あと、ここで言うのもなんですが、同時連載している「恋愛相談部」のほうは休載します。

 プロットを見直してみて思いました「暗すぎる」と。

 なので、今は一からプロットを作成しています。 おそらく、リメイクという形になると思います。

 皆さんには本当に申し訳ありません。

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