第17話(戦艦大和主砲火を噴く)

十七話(戦艦大和主砲火を噴く)


足の遅い戦艦は敵艦隊を追撃することに向かない事実を山本長官は熟知していた。

だからこそ戦艦大和を含む主力艦隊をミッドウェー島攻略の要として専念させようとしたのだ。

「最悪でも我々が敵空母艦載機を引き付けられるかもしれん」という思いもある。とはいえ艦隊を護衛してくれる戦闘機なしで基地攻略を成し遂げるのは無謀である。

航行中の英海軍戦艦を航空攻撃で撃沈して見せつけたのは他ならぬ日本海軍なのだ。

そのような理由からわずかながら軽空母による援護を受けながら、偵察機が調べた情報から距離を計算して、敵飛行場めがけて砲撃戦が始まる。

「砲撃始め!」

雷鳴の如き咆哮が耳を痺れさす程に轟いた。

特に大和の主砲が放った三式弾は敵飛行場の無力化に絶大な効果を発揮した。

「これが大和の使い道か…」

山本長官はこの戦果に一応の手ごたえを感じた。

「あとはもう南雲次第だ」

肝心の敵機動部隊の撃滅は彼の指揮如何にかかっているのだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る