第13話(巻き込まれの開戦)

十三話(巻き込まれの開戦)


勝和16年(1941年)12月8日、帝国日本海軍機動部隊は、米国太平洋艦隊本拠地布哇(ハワイ)真珠湾攻撃を敢行した。

これにより戦端は開かれた。

米国は帝国日本からの宣戦布告が遅れたいことを責め、

「騙まし討ちだ!」

と非難し、『リメンバー・パールハーバー』(真珠湾を忘れるな)をスローガンにして反日感情を煽った。

この時、従属国家も同罪だと非難する声明も出された。

つまり、札幌民主自由国も同罪と断じられたのである。

「私たちも帝国日本の一部として参戦していると認識しなければいけませんね」

「始めからこうなるとわかっていたではありませんか」

国務官房長官の斑鳩(イカルガ)勇一郎は嘆息交じりに答えた。本人はシリアスな心境でモノを言っているのだが、周囲からはやる気や覇気に欠けると誤解されやすいところが彼の欠点である。

「あなたは、この時代の歴史に本格的に介入する道を選んだのです。認識云々とかぬるい感覚で大首領など務まりません。腹を括ったモノの考え方をして下さい」

(確かに、斑鳩の言うとおり!トップとしての責任と立場を心に刻まなきゃ!)

心の声はそう言っているが斑鳩に対して発したのは、

「そうね」

の一言だけだった。

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