第12話(札幌国の立ち位置・立ち回り)

十二話(札幌国の立ち位置・立ち回り)


札幌国がどういう結末で戦争の終結を迎えることになるかわからないが、独(ドイツ)伊(イタリア)にまで協力する気は矢矧須津香には無かった。

「私は独裁者になりたいわけじゃない。だけど一度選挙をしただけで民主自由国を名乗ったのは私のエゴね」

誰もいない場所で独白する矢矧大首領を尻目にこの時代の世界情勢は緊迫した状況を超えようとしていた。

札幌国は帝国日本に対等たる同盟国として遇されていることになっているが傀儡国家とまではいかなくても従属国家として帝国日本にも諸外国にも認識されているのが現実であった。

帝国日本は勝和15年(1940年)に日・独・伊三国軍事同盟を締結した。

この後も帝国日本の政策に米国との関係はさらに悪化の一途をたどって行き、勝和16年(1941年)11月26日、米国から事実上の最後通牒『ハル・ノート』が帝国日本に提出されたことにより同年12月1日の御前会議において開戦が決定した。

札幌国の本当の戦争はこの時始まったのである。

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