第7話(北海道制圧作戦発令)
七話(北海道制圧作戦発令)
勝和15年(1940年)12月目前にして矢矧須津香大首領は札幌国民の安全確保と称して札幌自衛隊を組織再編し事実上の北海道制圧作戦を発令した。
『国家存立危機事態』を拡大解釈したうえで『防衛出動』をも発令し、北海道は『札幌民主自由国』の領土であると宣言した。事実上の宣戦布告であり自衛隊という組織の根幹部分を完全に上書きしてしまった。
「本当はこんな事はしたくない。けれどこうしなければ時代の後ろ盾のない私たちに未来の安全の保証はできないわ。どれだけ犠牲が出るかわからない、けれど手をこまねいていても状況はちっとも好転しないわ。この時代に専守防衛なんて綺麗ごとは通らないのだから」
歴史通りの展開をたどれば太平洋戦争開戦まで約一年間。一年間で北海道を制圧しろという無茶ぶりな作戦である。
「矢矧さんは防大で何を学ばれたんだろう?」
田ノ浦は甚だ疑問に思った。その一方で帝国陸軍が手薄になる時期も迫っていくことも見越しているのかもしれないとも感じた。
結局のところ燃料があるうちに北海道制圧作戦を完遂し、帝国日本から北海道の大地を乗っ取り、そこで漸く帝国日本との交渉テーブルに着く事ができると踏んだのだ。しかしながらその思惑は思わぬ形で挫かれることになる。
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