第4話(部下よさらば)
四話(部下よさらば)
緊急住民投票選挙管理委員会が組織され、準備が急ピッチで進められた。
その間も、札幌市民の安全確保のために札幌市周辺の警戒を続けていたある時だった。
突然、唐渡征二(士長)は大賀誠<タイガマコト>一等陸士(一士)を突き飛ばした。
「大賀ボケっとしてんじゃねぇ!」
タンッ!発砲音と共に唐渡(士長)は崩れ落ちた。腹に温かいモノを感じる。唐渡は消えゆく意識の狭間で大賀が必死に何かを自分に叫んでいる。(へっ、人の心配してる暇があるかよ。次はねぇぞ。)その心を最後に彼の命は最期を迎えた。
大賀は冷静さを失い敵と認識した人間に発砲した。自衛権とかそんなことを考えていられない状況だった。
あとから判明したことだが、唐渡たちに銃弾を放ったのはこの時代に詳しい隊員によると帝国陸軍第七師団の斥候部隊である可能性が高いとのことだった。斥候部隊は被害を出すことなく撤退したらしく目的の全容を掴むことはできなかった。確かなことは我々は帝国陸軍をはじめとする大日本帝国から攻撃対象として認識されていることである。
「未確認の武装組織が突然現れたら偵察もするし必要があれば攻撃もしてくるよな。唐渡が殉職かとうとう犠牲者が出たか」
報告を受けた田ノ浦はなるだけ冷静に受け答えし、表面上は動揺を見せなかった。心の内の動揺は覚られまいと冷静な指揮官を演じた。
「とうとう自衛隊が銃の引き金を引く事態になったか」
平声から勝和に来てしまったことも衝撃だったが自衛隊が実際に銃口を敵に向けて引き金を引く事態にいつかはなるだろうとは覚悟していたがこうも早く訪れるとは思っていなかった。
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