第3話 5年経ったんだけど?
-side ハッカ-
「あのバカ天使。一体どこで何をやっているんだろう?」
天使にこの世界に落とされてから5年。最初の2、3年は天使の書いた書物を読みながら住環境を整える事に苦労したが、その間、俺を放ったらかしにしていたハイエルフの村の住人にお世話になって、ようやく生活環境が快適になって文明の力を感じ始めている平穏な日常を過ごしていた。
今、俺はこの世界の事について色々学びながら、魔法や武道の勉強をしている。
今日はハイエルフの村で行う、魔法の試験の日だ。試験は村の公園で行う。
その道中、ウキウキで向かっているとガサゴソと音がしたので立ち止まった。
--ガサゴソガサゴソ!
「うーー!!うまいっ!」
「あ、天使だ」
「……!」
音のする方を見ると天使がいて、今にもその場から立ち去り逃げ出しそうだ。--ん?
「まずい……!」
「雷神の鉄槌」
--ピカッ!ゴロゴロ!
案の定、逃げようとしていたので、とりあえず速攻で魔法を打ち込んだ。試験前ということもあり、エイムも温まってとても調子が良い。
それはそれとして、この5年間色々な魔法を駆使して随分と探したが一向に見つからなかった天使がなぜかいる。
色々と聞きたい事ばかりだ。
「はい、正座」
「はい」
子供ながらに最強のハイエルフと言われている俺は雷魔法で天使を拘束した質問する。
ハイエルフにとって5年は短い。体感としてはあっという間だったが一応長い期間ではあるかと思い、なるべく淡々と聞く。
「この5年間どこで何してたの?」
「ひっ……!?」
「あ?」
「はっ!はい!天界に帰っていました」
「はいダウト」
「……!」
--バチバチバチ!!
天使の嘘に反応して雷魔法が発動どうする。最近ハイエルフの村にいた時に適性があるから授からないか?と言われ授かった魔眼を持っているので、嘘を見抜く事ができる。
「いつの間にそんな!?」
「まあ、なり行きで……」
「チートだ、そんな技!」
「お前に言われたくないよ……、それで?」
「ひっ……!人間界へ行ってました⭐︎」
「お前っ!人間界があるなら先に言ってよ!!」
そうしたら、ハイエルフの村に頼る前に俺も色々文明の力を使えたのに!!
「でもでも!!君別にそこまで他人と関わる事に興味ないでしょ?」
「そりゃなるべくなら面倒な人間関係などやめたいけれど……、でも、他人と関わらなきゃ文明の利益を享受できないから現実的ではないよ」
「ふふふ……そんなあなたにとっておきの情報が」
「あっ……そういうの良いんで」
「えっ……!?でも結構有益な情報だと思うけれども?」
「それよりも時間やばいから先に行くねー!」
--スタスタスタスタ
久しぶりに天使とも話したいが、それよりもハイエルフの村の、魔法の試験の方が大切である。心を踊らせて向かうのだった。
「……スルー?……僕を?」
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