第7話 錯乱
領主様のお家騒動に村が巻き込まれているかも知れない・・・司祭様が頭を抱えてしまったので、その日の打ち合わせはお開きとなる。
炒り豆が美味しかったと伝えると「こんなものでよければ」と、すぐにまた作ってくれた。
また翌日。
南の森に男衆が探索に向かった後、わたしは念のために
「こんにちは」
声の主は、
「もう、出歩いて大丈夫なの?」
心配はするが、
「はい。少しづつでも身体を慣らさないといけませんから。今日は気分も良いので、少し歩いてみます」
「無理しないでね」
男衆の留守番と言っても・・・もしも時に備えているだけなので、実は何もすることがない。見晴らしの良い教会の側の丘で、剣を携えているだけ。ただし、何かあればすぐに駆けつけないといけない。
イリヤは、教会の中で司祭様と知恵を絞っている。
フードで顔を隠したサクヤが側に来て、昨日司祭様からもらった炒り豆を差し出した。
「ありがと」
サクヤと一緒に炒り豆を食べながら時間を潰す。
まだ日が高いうちに、ワラワラと男衆は帰ってきた。しかも、かなり興奮している様子だ。
・・・焚き木の後があった。
・・・大きな狼らしき影を見た。
どうやら手がかりがあったようだ。それなら、これからすぐにでも追撃に転じる方がいい。わたしは剣を握り直して、声をあげようとした。
だが、そうはいかなかった。
「エルザはどこにいた!」
「エルザは、ここにいなかったんだな?間違いないな!」
身体を慣らすために散歩に出た
「あの人狼は、エルザが変身したんだろう!」
「エルザを出せ!ハッキリさせろ!」
声をあげているのは、
男達はあの時、手袋の外れた
最初の数人の声に、他の男達が追従する。集団となって
男達には、
男衆の聞き分けの無さに、わたしが思わず剣を抜きそうになる。
だが、わたしの癇癪より僅かに早く村長が男衆を一喝した。司祭様も村長のすぐ後ろにいる。
村長と司祭様の説得に納得したわけでないだろうが・・・男衆はその場から散って行った。
ようやく
食事を終えて居間に行くと、テーブルには村長と司祭もいた。
村長も、司祭様も、
・・・長い沈黙が続く。
沈黙を破ったのはイリヤだった。
「
そして、イリヤは
固く巻かれた紐を解いて袋の中から、更に小さな袋を一つだけ手に取る。その中にあった粉末をワインに混ぜた。
イリヤが、
少しの間、イリヤの差し出したワインを見つめていたが、小さく微笑んでそのワインを一気に飲み干した。
間もなく
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