第4話 山狩り
一夜明けた翌日。
昼食を頂いてから、
「いやぁぁー・・・来ないでぇぇぇ・・・」
大きく見開いた
「・・・熱い・・・焼けるぅぅ・・・」
苦しそうに手袋を引き剥がした
身を捩って暴れる
イリヤも
改めてイリヤが薬師だと伝えて、熱冷ましの薬を
「目を覚ましたら飲ませてあげて下さい。量を間違えると、逆に身体に負担をかけるので気をつけて下さい」
ただ、どうやら今回のような発作ははじめてではないらしい。もっと軽いものは、少し前にもあったと言う。
「あのさ」
「エルザさん、身籠もってるよ」
「え?」
「多分、間違いないと思う」
その上で、敢えてそれに触れないようにしているのだと思った。
結局、その日は昼食を食べないまま、
教会のこぢんまりとした礼拝堂には司祭と村長が、わたしと
本当に小さな教会で、礼拝堂と言っても数十人しか入れない。司祭は、教会の脇に建てられた掘っ立て小屋みたいな家で質素な生活しているようだ。司祭様こそ、教会の倉庫で暮らした方がマシなんじゃないだろうか?
一応、イリヤとサクヤも同行してはいたが「戦士様へのお願い」と言うことだったので、2人は教会の外で待ってもらう。
できるだけサクヤを一人にはさせたくなかった。異国人、とりわけ言葉を解さない異国人は「異教徒」扱いされたりしたら面倒だから。
わたし自身も、この地の神とは別の神々に造られた国から来た異国人だが、傭兵に求められるのは強さのみ。
傭兵には信仰心は関係ないが、非力な少女にはそうはいかない。
一通りの話を聞いたので、外で待つイリヤに依頼の内容を報告する。
「てっきり、人狼退治でも依頼されるかと思っんだけどね。村周辺の森や山を、村の男衆で山狩りをするから参加して欲しい、だってさ」
「山狩り、ですか?」
「村の娘が2人行方知れずになったそうだよ。それから怪しい人か獣かわからないモノが目撃されたんだって。家畜が襲われたこともあるみたい」
話を聞いたイリヤは、妙に真剣な顔つきで思案してる。
「引き受けたんですか?」
「イリヤが嫌なら断るよ。わたしの婿として、一族の長になってもらうんだからさ。わたしはイリヤの言う通りにするよ」
「いえ、引き受けましょう」
・・・え?
いや、普段ならこんな言われ方したら、照れるなり困るなりするだろ?
イリヤがこんな毅然とした反応したらカワイくないぞ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます