第三章 カイザースープレックス


1


テリーに語った通り、俺はベンガリィを避けて東進し、グランダガーノ帝国へと入った。

ここグランダガーノ帝国は、対魔族の急先鋒として、グランダガーノ1世が建国した国である。

既に数百年の歴史を誇り、常に魔族との戦いに明け暮れて来た。

この国の住民たちは、魔族と戦う事が当たり前の日常を送っている。

故に、そんな気風が染み付いた、軍事国家であった。

そんな国に立ち寄る者など、傭兵や冒険者、商人くらいである。

そして、質実剛健が尊ばれてもいる。

結果、神聖オルヴァドル教国ほどでは無いが、メシマズであった(-ω-)

戦の為に腹が満たせれば良い。

そんな飯ばかりでは士気に関わるとは思うのだが、この国の軍人も典型的な頭の固い軍人ばかりなのだろう。

北方の帝国と聞いて、ロシア料理のような名物を期待したのだが、叶わぬ夢となった。

本場のピロシキが喰ってみたかったなぁ。


北方三国は北国であるが、今季節は初夏であり、もう雪化粧は見られない。

そもそも雪国と呼べるほど雪が降るのは、もっと北に位置する魔界くらいなので、冬でも雪深くは無い。

すでに大地は渇いており、帝国軍、魔族軍双方とも、砦を出て睨み合いを続けているらしい。

本格的な戦闘はここ数年行われていないが、何度も出陣しては睨み合い、隙を伺い続けている。

だが、本隊から離れた小隊規模の戦闘は、むしろ頻繁に起こると言う話だ。

それがチャンスだろう。

小隊以下の規模ならば、俺のゾンビ軍団で睨み合いに持ち込めるかも知れない。

出来れば、話の分かる魔族軍の隊長と、1対1の状況を作りたい。

一騎討ちに持ち込んで、さらに話だけで終われば良し。

無理でも、何とか倒して話を聞ける状態に持って行く。

だから、こちらから魔族軍の将兵を殺す事は避けたい。

この辺が、実際にどう転ぶか読めないところだ。

ステルスで潜入したり、ゾンビ軍団で殲滅したり、と言った判りやすい形では無いので、正直妙案は無い。

出たとこ勝負だ。


その為、俺は最前線を目指す。

帝国軍最前線のゴンドガルンド砦には、すぐ南側にゴンドガルンドの街があった。

長く睨み合いを続けているので、軍事要塞であるゴンドガルンド砦だけでは、物資の貯えにも限界がある。

兵站の意味でも街は必要だが、当然魔族側の軍事目標になり得る。

だから砦だけで無く街の防備も堅くなり、いつしか第二のゴンドガルンド砦となって、今では南北に広がる城塞都市として発展している。

このゴンドガルンドの城塞都市に入れてしまえば楽だったのだが、さすがに軍の関係者でも無ければ簡単に通して貰えない。

潜入は簡単だが、問題は俺では無い。

ミラを戦場まで連れて行くのは危ない、と言う話だ。

ゴンドガルンドで預けられれば良かったんだが、それが難しいので、ゴンドガルンドの少し手前にあるサンディスの村で預かって貰った。

少し戦場に近い気もするが、戦略上重要な村では無いので、サンディスが魔族に襲われた事は無いそうだ。

ゴンドガルンド自体が目的地でも無いので、結局ゴンドガルンド砦の西側を迂回して、俺は戦場に向かうのだった。


2


両軍が陣を構えているのは、ゴンドガルンド砦から北に3km程の地点。

双方の砦は10km程度離れているので、結構ゴンドガルンド側での睨み合いだ。

上空から確認したところ、その数、帝国軍25000に対し、魔族軍2000。

帝国軍の主力は、前面に展開された重装騎兵部隊で、弓兵と魔導士は後ろに控え、それらを重装歩兵が守っている。

魔族の脅威を踏まえ、主に護りを考えた布陣だ。

魔族軍の方は、魔族としての邪妖精、巨人たちの混成部隊で、コボルド、オーク、ゴブリン、ホブゴブリン、オーガ、トロールたちが多数を占めるが、少数純魔族の姿も確認出来る。

そこがポイントだ。

25000に対し2000では、数の上では1/10にも満たない。

しかし、戦力換算するならば、むしろ魔族側優位なのかも知れなかった。

それほど、質には違いがある。

大軍でありながら防備を固め睨み合う事しか出来無いでいるのが、その事実を雄弁に物語っていた。


俺が回った西側には、低木が繁る森が広がっている。

伏兵を忍ばせるには持って来いのようにも思えるが、少し戦場からは離れている。

そもそも、判りやすく警戒すべき地形なので、どちらの陣営も監視を怠ってはいない。

だが、その森を隠れ蓑にして、さらに西側を行く小部隊がいた。

その数11人の分隊規模だが、彼らは南下している。

つまりは魔族軍。

11人でも人間族の分隊とは訳が違う。

彼ら1人1人が人間族の勇者クラスだとすれば、帝国軍一個中隊が相手をしても、防ぎ切れるとは限らない戦力だ。

しかし、それも分隊員10人だけの話。

隊を率いるもう1人、こいつは話が違う。

これは俺の過大評価かも知れないが、こいつが本気になれば、帝国軍本隊25000を1人で葬り去れるのではなかろうか。

それくらい、圧倒的な力を感じる。

……まぁ、俺のはアストラル感知であって鑑定では無いから、具体的な数値は判らない。

何と無くニュアンスで、強いとか、大きいとか、危ないとか、他には温かいとか、優しいとか、柔らかいとか……本当、感覚的にそう感じるだけなので、どこまで正確かは自分でも自信が無い。

出来得れば関わり合いにならない方が良い、とも思うが……ひとつには、これも感覚的なので我ながら馬鹿馬鹿しい発想だが、途轍も無く強いと同時に、とても優しく温かい存在だと感じるのだ。

敵となれば恐ろしい事この上無いが、味方にすればこれほど頼り甲斐のある奴もいない、そんな感じだ。

そして、これはある意味自分に対する言い訳なのだが、この分隊を無視すれば帝国軍、並びにゴンドガルンド砦が危ない。

本当はどうでも良いが、見付けたからには対処するべきだ……さ、これで言い訳は終わり(^^;

いざとなったら何とか逃げ切れる事を祈りつつ、俺はこの分隊の前に姿を現す事にしたのである。


3


俺はまず、森の中でステルスを解き、コマンダーたちを招喚する。

「今から魔族軍と接触する。俺の目的は、その部隊の隊長とコンタクトを取る事だ。だから、こちらから戦闘を仕掛ける事は禁じる。お前たちを喚び出したのは、牽制の為の頭数だ。」

俺は話しながら、森の外へと移動を開始する。

「仮に戦闘になったら、出来るだけ殺すな。だが、お前たちがやられても困るから、手加減が出来無いと思えば本気になって良い。そして、あれだ。」

森を出ると、視認出来る距離に分隊が見えた。

「あの隊長だけは物が違う。俺が敵うかどうかも怪しい。いざとなったら、お前らを緊急帰還させて、俺も逃げるからな。何があっても、あれにだけは手を出すなよ。」

見れば、向こうもこちらに気付き、待ち構えているようだ。

まぁ、俺はステルスを解いたんだし、ゾンビどもを招喚などすれば、バレて当然である。

両部隊の距離は100mくらい。

急に襲って来る様子は無いので、まずは呼び掛けてみる。

「お初にお目に掛る。俺は冒険者のクリムゾン。出来ればそちらの隊長と、1対1で話がしたい。」

そして数歩歩み出て、足を止めて返答を待つ。

すると、魔族の隊長も数歩歩み出て「何の話だ。こちらには、人間と話す事など無いぞ。」との返答。

「俺は冒険者だ、帝国の人間じゃ無い。訳あって、魔族と直接話したいと思ってここまでやって来た。少し話を聞いてくれないか。」

と、また数歩。

すると、魔族の隊長は歩き出し「もう少し近くへ来い。」と中間地点へ移動して行く。

それに合わせて、俺も移動を開始し、2人は数mの距離まで近付いた。


魔族の隊長は、背丈は俺より少し低く、筋肉の付き方もゴリマッチョな俺とは違いしなやかに見える。

軽装とも呼べぬほど防具の類は少なく、肌の露出も多い。

そう言えば、武器の類も見当たらないが、戦う時には爪でも伸びるのかな。

角や翼、尻尾と言った悪魔的な部分は確認出来無いが、顔や上半身には隈取を施したような紋様が浮かび、その瞳は金色に輝いている。

腰まで届く長髪は白銀に光り輝き、顔立ちの良さ、均整の取れたスタイルと合わさって、近くで見ればかなりの美形だ。

男の俺でも見惚れるほどに。

その隊長が、腕を組み俺を値踏みするように眺める。

「それで、お前は何が目的なんだ。」

「取り敢えず、いきなり攻撃しないと約束してくれ。」

目を細める隊長。

「良く判らんが、ここまで出向いてやったんだ。まだその気は無い。攻撃などせん。」

「……俺は、神聖オルヴァドル教国の元勇者だ……。」

その言葉に反応したのは、後ろに控える魔族の部下たちだった。

10人が一斉に走り出すと、振り返って隊長が一喝する。

「動くんじゃねぇ!手を出すなと言ったのを忘れたのか!俺は二度は言わねぇぞ!判ってんだろうな!」

一気に鬼気が膨れ上がり、部下たちを押し包む。

部下たちはその場で立ち止まるが、何人かはその鬼気に当てられ膝から崩れ落ちてしまう。

鬼気は背後の部下たちに向けられたものだが、目の前にいる俺ですら思わず身震いするほどだ。

やっぱ、こいつとんでもねぇな。

「こいつは元勇者と言ったんだ。話は最後まで聞け、馬鹿野郎ども。」

こちらに向き直った隊長は、目で続きを促す。

「……南の果て、しかも神族のお膝元、主神教総本山となれば、神族に都合の良い話ばかりだし、魔族についてはほとんど判らないに等しい。俺は本当の事が知りたくて、ここまでやって来た。本人に直接話を聞くのが一番だろ。顔を突き合わせた方が、色々伝わる事もあるしな。」

俺は正直に話す。

ともすれば、そんな下らない事で人間が話し掛けるな、などと思われてしまう可能性もあるが、誠意を尽くす事しか俺には出来無い。

ま、決裂すれば、力ずくって事になるんだが(^^;

「目的は判った。だが、何故元勇者なんだ?そこははっきりしてくれ。」

あぁ、そこが気になったのか。

「簡単な話だ。俺は勇者として認められた次の日、国を出奔した。勇者なんか最初からやる気無ぇし。ま、勇者ってクラスは色々有利だから、クラスチェンジは考えていないけどな。」

怪訝な顔をする隊長。

「何故だ?何で勇者が嫌なんだ。」

「勝手に招喚して勇者とおだてて、魔王を倒して下さいなんて知ったこっちゃねぇだろ。知ってるか?勇者の招喚って、俺の本体元の世界じゃ死んでるからな。勝手に殺して勇者に仕立て上げて、実際会った事も無ぇ、どんな奴かも判らねぇ魔王をいきなり倒せって、何で俺を殺した犯人の言う事素直に聞かなきゃならねぇんだよ。ふざけんな馬鹿、こっちはこっちで、利用するだけ利用して、強くなったらおさらばするわ、って事で出奔したんだよ。」

あ、ついヒートアップしちまった(^Д^;

「……ごほん(咳払い)、それで勇者の体はありがたく使わせて貰うとして、オルヴァの勇者なんか知ったこっちゃねぇ、とそう言う事だ。」

隊長はまじまじと俺を見詰め、薄く笑った。

「お前、面白いな。俺は今まで何人も、オルヴァの勇者も他の国の勇者も見て来た。中には例外もいたが、ほとんどが何の疑いも持たず自分を正義の味方と信じ込み、邪悪な魔王を倒すと息巻いていたもんだ。例外たちだって、己を正義の使徒などとは思い込まずとも、魔王を倒す、魔族は敵だと言う認識では一致している。ま、人間族の一員なんだから、それはそれで当然かも知れんが。だがお前は、まず魔族の事を知ろうと考えたのだろう?敵を知る為だとしても珍しい。ましてやその様子だと、ハナから魔族を敵と思い込んでいるとは思えない。こんな勇者は初めてだよ。」

「元、勇者だ。」

「ふ、そうだったな。気に入ったよ、確か……そう、冒険者クリムゾンだったな。お前の望みを叶えよう。」

ふぅ、話の判る奴で良かった。

これで戦わなくて済みそうだ……と思った俺が甘かった。

「ただし、ひとつ条件がある。」

「……ま、ただで願いを聞いて貰うなんて、虫が良過ぎるよな。いいぜ、何でも言ってくれ。俺に出来る事なら、可能な限り応えよう。」

さすがに、後ろにいるコマンダーたちを殺せとか、帝国軍を一緒に攻めろとか、そう言う無理難題まで何でも良しとは言えない。

隊長は、嬉々とした表情で宣言する。

「俺と戦え、クリムゾン!勝ち負けはどうでも良い。戦って、俺を満足させてみろ!」


4


隊長は腰溜めに右拳を握り締め、一瞬の内に間合いを詰める。

早い……が、これってもしかして。

「シッ!」と息を吐きながら、その拳を俺の顔面目掛けて突き出す。

俺は反三才歩で右へ躱し、距離を取る。

ちなみに、反三才歩と言うのは中国拳法の基本的な歩法のひとつで、相手の攻撃を躱すと同時に、相手の斜めを取る形になる。

プロレスのみならず格闘技全般大好きだった俺は、拳児の影響で八極拳を独学で勉強した事もある(^^;

以前の俺は格闘家になんかなれなかったが、今の勇者ボディなら話は別だ。

ライアンとの稽古の時には、色々と試したもんだ。

初撃を躱され、驚愕の表情を見せる隊長。

何があったか判っていないようだ。

俺が位置を変えた事に気付くにも、一瞬の間があった。

「くっ、何をしたかは知らんが、やるな。だが、次も躱せるか。今度は本気で行くぞ!」

再び腰溜めに構える隊長。

なるほど、もしかしたら……。

隊長が唸る拳を突き出した刹那、今度は三才歩で左へ躱し、避けられてバランスを崩した隊長を軽く押してやる。

たたらを踏むも、数歩で体勢を立て直す隊長。

ちなみに、三才歩と反三才歩は前足から動くか後ろ足から動くかなど、少し違いがある。

移動した後三才歩の方が敵と近くなるので、今回は三才歩で躱し押してやった。

「くそっ!一体どうなってやがる。」

そう言って、今度は蹴りを放つ隊長。

その蹴りは、顔面を狙った前蹴り。

俺はバックステップで間合いを外し、隊長の蹴りが外れた後、すかさず軸足にローキックを決めてやる。

「ぐあっ!」とひと声上げて、隊長は初めて経験する痛みに悶絶する。

隊長が思わずしゃがみ込み、蹴られた左足を抱えてしまう間に、俺は少し距離を開け腰のベルトを外し、ショートソードとダガーを鞘ごと落とす。

「どう言うつもりだ……。」

痛む足で何とか立ち上がり、隊長は態勢を整えながら呟く。

俺は右掌に左拳を当ててポキポキ、その後左掌に右拳を当ててポキポキ指を鳴らし、ストレッチの為首をぐるぐる回す。

「お前がその気なら、俺も無手で相手をしてやるよ。」

言って、左手を差し出し、くいくいっと指を動かして「来いよ」とジェスチャーしてやった。

それを挑発と受け取った隊長は、「なめるなっ!」と叫びながら突進して来て、再び拳を突き出す。

それじゃあ駄目だぜ、隊長さん。

俺は、矢継ぎ早に繰り出される左右の拳を、膝を使い腰を屈め上半身を左右に振りながら躱す。

ボクシングで言う、ダッキングである。

当たれば一撃必殺かも知れない突きの連打を、俺は苦も無く避けてしまう。

隊長の突きは、いわゆるテレフォンパンチなのだ。

隊長は顔面に対してのみ拳を突き出すが、ほぼ空手の正拳突きに近い。

いつ打ち出すかタイミングが判りやすく、且つ隊長の場合狙いも顔面と決まっている。

だから、喰らえばただでは済まないほどの突きであっても、簡単に躱せる。

もちろん、魔族の身体能力で突進、そして打ち出す突きは、本来そう簡単に躱せる代物では無い。

しかし、俺は勇者の体だから魔族に引けを取らない身体能力を持ち、悪いが格闘技の知識がある。

ここが大きなポイントだ。

アーデルヴァイトでは武器による戦闘が主流で、無手は武器を失った時の最後の手段としか考えられていない。

無手格闘術など、俺の知る限り存在していない。

だから、相手は素手で殴り掛かって来るなんて、そもそも想定外。

想定外な上、魔族の圧倒的身体能力で繰り出す高速の突進、そして突きだ。

今までこれを躱した者などいなかった事だろう。

だが、いくら魔族の必殺の一撃とは言え、本当に一撃で終わるとは限らない。

拳にはたっぷり魔力も乗っているから、物理ダメージだけで無くアストラルダメージも相当なものだと思うが、それに対抗出来るほど防御力、魔法防御力が高い相手なら、初撃に耐える者はいるはずだ。

同じ魔族や大型のモンスター、人間族の勇者や英雄クラスなら、充分耐え得る。

隊長の不運は、彼が極めた無手格闘術が強過ぎた事。

誰にも躱せずほぼ一撃必殺、そもそも無手格闘術自体隊長しか使わない。

そんな状況では、実戦経験も積めないし組手も出来無い。

ただただ、己を高めるのみである。

それがこの、テレフォンパンチ状態を作り出した。

隊長は最初、俺を満足させてみろと言った。

それは、一撃で沈まず見事耐えてみせろ、その程度の意味だったのではないだろうか。

こうまで躱され続け、自らが磨き上げて来た無手格闘術が、全く通用しない事態など想定外だったろう。

ならば教えてやらねばなるまい。

本当の格闘技と言うものを。


俺は防御に徹し観察する事を止め、こちらからも手を出す事にした。

まずはカウンター。

突きを出すモーションを盗み、軽く左ジャブを当てる。

ジャブとは言え、攻撃の出しなに合わせられているので、その分ダメージも増す。

俺も、ちゃんと魔力を乗せているから、アストラル体にまで響く事だろう。

次いで、もう一度カウンターで左ジャブ。

完全に機先を制す。

そこで手が出しにくくなった隊長の周りを回りながら、さらに左ジャブを畳み掛ける。

さすがに隊長は、自分が相手頭部を狙う戦い方をしているので、自然に頭部を庇う姿勢を取る。

悪いな、隊長、頭を守れば腹ががら空きだぜ。

俺は思いっ切り、隊長の水月にボディフックをお見舞いする。

「ぐぼぁっ!」と、これまた初めて味わうであろう苦痛に顔を歪めた隊長は、今度は頭部のガードがおろそかになる。

そこに、すかさずワンツーを決める。

ワンツーってのは、ボクシングの基本コンビネーションで、素早く放つジャブの後、力を乗せて放つストレートを連続で繰り出すものだ。

連続でクリーンヒットされた隊長は、少しふらつくもののまだ立っている。

ちなみに、地球の格闘技と決定的に違うのは、驚異的な肉体の回復力だ。

確かにダメージは与えるものの、肉体的な損傷はすぐにも回復する。

ただ、そうして自然回復力が働けば、HPに対しては体力が、MPに対しては魔力が、と言うか気力かな?数値化出来無い何かが減って行く(^^;

回復力、再生力の強さに違いはあれど、決して無限に続く訳では無いのだ。

だが今は、体力も気力も充実していただけに、ダメージ自体はすぐにも回復するだろう……痛いもんは痛いけどな(^Д^;


すっかり警戒モードに入った隊長からは仕掛けて来る様子が無いので、今度は足技、しかも変則的な攻撃を仕掛けてやる。

まずは前蹴りを腹部に放ち、さすがにこれは防御した隊長。

もちろんそれは囮であり、今度は蹴り足を思い切り高い位置まで上げる。

次の瞬間、ふらつきながら後退る隊長。

ハッ、と気付くも、何が起こったか判るまい。

俺も昔喰らった時、何を喰らったか認識出来無かった。

踵落とし。一度頭よりも高く足を蹴り上げた後、踵を相手の頭部に蹴り落とす技。

人気K-1ファイターだった、アンディ・フグの得意技として有名だ。

頭や腹への攻撃には少し慣れたかも知れないので、次は足を攻めてみる。

まだ面食らったままの隊長へ近付き、左の上段回し蹴りを仕掛ける。

そこは隊長、さすがの反応でガードするが、俺はその蹴り足をただ戻すのでは無く、体を回転させながら低い体勢になって、隊長の足を刈ってやる。

これは、水面蹴りと言う中国拳法由来の足技で、新日本プロレスで闘魂三銃士と呼ばれた橋本真也が得意としていた技である。

足を刈られて倒れた隊長は、すぐさま起き上がり体勢を整えるが、まだ混乱の中にいるようだ。

俺は続けて、勇者ボディだからこそ出来そうな技を試してみる。

先程同様、左の上段回し蹴りを放つと、これもガードする隊長。

今度はガードしたのと反対側の、左側頭部に蹴りを受け、激しく吹き飛ぶ隊長。

双竜脚。左右の上段回し蹴りを高速で繰り出す事で、あたかも左右同時に蹴られるかのような神業。

これは、漫画修羅の門に登場する天才海堂晃の必殺技だ。

さすがに現実には無理だと思うが、ここは異世界。

勇者の身体能力に、瞬間的な身体強化で素早さを倍加させ、ほぼ左右同時の上段回し蹴りを実現してみせた。

……凄ぇ、体痛ぇ(T∀T;

これは反動が物凄ぇな。

下手すりゃ、蹴られた隊長より蹴った俺の方がダメージ非道いかも知れん(^Д^;

神業過ぎるぞ、さすが天才だな、海堂。

「……ふふふふ……ははははははははは、面白い!実に面白いぞ、クリムゾン。」

ゆっくりと立ち上がりながら、何か吹っ切れた御様子の隊長さん。

「認めよう。お前の方が上のようだ。だがまだだ、まだ終わらんよ。いくらでも躱すが良い、いくらでも蹴れば良い。こんな楽しい事、簡単に終わらせて堪るか!せめて一撃、俺の全てを込めた拳を喰らわせてやる!!」

そして、猛然と突っ込んで来る隊長。

……いや、このままじゃ、俺は楽しく無いぜ、隊長さんよ。

体ごと拳を突き出し飛び込んで来る様は、さながら餓狼伝説の主人公、テリー・ボガードのバーンナックルのようだ。

俺はそのバーンナックルを、真正面から受け止める。

顔が吹っ飛んだかと思うほどの衝撃!

来ると判っているから耐えられるし、ダメージは勝手に回復するが、めっさ痛ぇぇぇ!

「き、貴様、どう言うつもりだ!まさか、この俺に情けを掛けた訳じゃ無いだろうな!」

ふらつく足に活を入れ、俺は胸を張り足を踏ん張り、垂れる鼻血を気にせず叫ぶ。

「俺はつまんねぇぞ!このままじゃあつまらん。さぁ、プロレスをやろうじゃないか!」


5


「ぷろ……れす?」

判る必要は無いぜ、隊長。

それに、すぐ判る。

俺はすぐさま駆け出し、プロレスの代名詞とも言えるドロップキックを繰り出す。

不意を突かれた隊長は、両腕でブロックするが体勢は崩す。

俺は立ち上がりながら懐に潜り込み、隊長に抱き付く。

「な!何の真似だ?!」

そのまま後方へエビ反りながら投げを打つ、フロントスープレックスだ。

受け身も知らない隊長は、思いっ切り背中から地面に叩き付けられ、内臓まで響く未知の苦痛を味わった。

まずは洗礼だ。

実戦の中でうだうだ説明なんてしていたらテンション下がる。

投げられながら覚えるが良い。

プロレスにとって一番重要なのが、この受け身と言って過言では無いだろう。

プロレスラーは、互いが磨き上げた技と肉体をぶつけ合う。

どうだ、俺はまだまだそんな技では参らないぞ、と誇示する為、敢えて相手の技を受けてやる。

だからこそ、しっかり受け切る体や受け身は大切であり、プロレスラーは敵同士では無く試合を一緒に作り上げるライバルなのだから、試合で相手が壊れる事など望まない。

今だって俺は、隊長を倒したいとは思っても、殺したいとは思わない。

プロレスは殺し合いでは無く、キング・オブ・スポーツなのだ。

プロレスにとっても勝敗はもちろん大事だが、一番大事なのは観客が盛り上がる事。

今は観客など部下とコマンダーたちしかいないが、あいつらが観ていて胸が熱くなるような戦いが出来れば、俺たちの勝利だ。

そう、俺と隊長、2人の勝利だ。

その為にも、まずは受け身を覚えて貰おう。

起き上がる隊長を再びフロントスープレックス、三度フロントスープレックス、もひとつおまけにフロントスープレックス。

同じ投げなら受け身のタイミングも判りやすかろう。

最後のフロントスープレックスからは、かなり素早く起き上がって来た。

そろそろ慣れた頃だろう。

俺は隊長の前に立ち塞がり、両手を広げて待ち構える。

ほら、次はお前の番だ、と。

すかさず右の拳を顔面に叩き込んで来る隊長だが、俺は口の中の血を吐き、同じ体勢のまま首を振る。

違う、そうじゃ無い、殴っても良いがそれでは今までと一緒だ、せめて俺との戦いで覚えた事を応用、反映して殴れ、そして出来るなら、お前も投げてみろ。

そう言う思いを込めて、俺は仁王立ちのまま見詰めてやる。

「ぐっ……、仕方無い、お前に付き合ってやるよ、クリムゾン!」

そう叫び、俺に抱き付く隊長。

隊長の初めての投げは、彼の才能を示すような、見事なフロントスープレックスだった。

俺はよろふら立ち上がりながら、頭の中でゴングが鳴り響いた気がしていた。

「そうだ、それで良い。それでこそ、俺も本気になれるってもんだ!」


俺の心意気が通じたのか、お互い体力を消耗して躱す余裕が無くなっただけか、その先の攻防はまるで互いに防御の事など忘れたかのような、技と体のぶつかり合いとなった。

俺は大好きなプロレスごっこが出来るので、ダブルアームスープレックス、ブレーンバスター、バックドロップ、アングルスラムと、様々な投げ技を繰り出す。

隊長はそれを真似しながらも、俺が見せたボクシングや各種足技などを参考に、自らの無手格闘術研鑽にも努めている。

だから、俺は他にも、肘打ちや膝蹴り、ニールキックやローリングソバット、カポエラの逆立ち蹴りなど、立ち技格闘技の技も混ぜてやる。

殴っては投げ、投げては蹴り、蹴っては殴って、お互いの体力を削り合う。

段々、腕1本、指1本すら、動かすのがしんどくなって来る。

一体、試合開始からどれくらい時間が経過したのだろう。

頭も朦朧として来るな。

だが、しんどそうなのは隊長も一緒。

いや、むしろ隊長の方がしんどそうだ。

確実に、素の強さなら隊長の方が上だ。

HPもMPも、体力気力魔力だって、絶対純魔族である隊長の方が遥かに高い。

それでも、序盤俺が一方的に攻め、受け身も知らずに投げられて、蓄積するダメージそのものが隊長の方が上だった。

悪いが、今回は俺に一日の長がある。

このまま行くなら、先に倒れるのは隊長だ。

それは隊長の方も判っているようで、意を決して力を高めて行く。

そうだな、やっぱりそれだよな。

お前のこれまでの集大成なんだ。

それを、自ら否定など出来んよな。

そして、俺も否定するつもりは無い。

だからこそ、受けて立つ。

隊長は腰溜めにした拳を突き出すように突進、俺は一度両腕を広げ、それから左拳に全てを乗せ突き出しながら「バーンナッコゥ!」と叫んで突進(^^;

隊長版バーンナックルと元祖バーンナックルのぶつかり合い。

それは、一撃必殺の威力を秘めた拳同士のクロスカウンターとなった。

……その場に倒れたのは、俺の方だった。

さすがに年季が違う。

拳の破壊力だけで言うなら、俺など足元にも及ぶまい。

意識まで持って行かれなかっただけ、良く耐えた方だと思う。

しかし、見上げてみれば、隊長は辛うじて立っているだけであり、目の焦点も合わずよろふら揺れていた。

「ぅうおぉぉぉぉ!」

俺は気合を込めて歯を食いしばって立ち上がり、隊長の首を肩に捕まえて、そのまま倒れ込む。

ダイヤモンドカッター?チッチッチッ(と頭の中で指を振り)、ノー!エースクラッシャー!!

今のは、俺が妄想でやっていた、リング上でのパフォーマンスだ(^^;

元祖は改良型のエースクラッシャーなのだが、ダイヤモンドカッターとして世に広まった為、他の選手が使う時、例えば小島聡が使う場合コジコジカッターと呼ばれたりする。

だが、俺にとってはジョニー・エースのエースクラッシャーであり、何故なんちゃらカッターと呼ばれるのか、不思議に思ったもんだ。

ネット時代になって詳しく調べる事は出来たが、俺にとっては子供時代に応援していたジョニー・エースのエースクラッシャーなのだった。

だから、ダイヤモンドカッターと実況されたら、実況に向かって指を振り、「ノー、エースクラッシャー!」と叫ぶまでが一連のリングパフォーマンス。

もちろん、実況には事前にダイヤモンドカッターと敢えて言って貰うよう話を通しておく……と言う妄想だ(^Д^;

プロレスファンなら、皆やるよね?


6


俺は横へ転がり、それから素早く立ち上がる。

しんどいが、良し、まだ動ける。

片や隊長、どうにかこうにか体を起こすが、未だ片膝立ちで息も荒い。

もう終わりは近い。

ならば俺も、必殺の一撃を繰り出す時だ。

俺は左腕を突き上げて、右手で左肘のサポーターの位置を直すような仕草をする。

そして突進を開始し、体ごと隊長へ向かって行く。

やっと立ち上がった隊長は、もう躱す事も受ける事も難しいと判断し、全力で耐え切ろうと決意の瞳でこちらを凝視する。

俺はその決意ごと、隊長の首を魔力を最大限込めた左腕で薙ぎ払う。

隊長は、首を支点に一回転し、うつ伏せに倒れ伏す。

少し遅れて俺は、右手でテキサスロングホーンを象って、思い切り突き上げる。

「ウィーーー!」

ウエスタンラリアット。名レスラー、スタン・ハンセンの必殺技だ。

この技は、後のプロレスラーたちも普通に使うが、ここまで一撃必殺を誇るレスラーは数少ない。

ハンセンのラリアット一発で大概の相手は沈むものだが、何とか返した者も二発目を喰らえば試合が終わる。

唯一、ジャンボ鶴田が二発目を返した記憶はあるが、それもロープの傍で助かっていたはずだ。

俺にとって、いや往年のプロレスファンにとって、ハンセンのラリアットは他とは別格の必殺技なのだ。

だからこそ、この試合を決めるに相応しいフィニッシュホールド足ると踏んだのだが……天晴な男だぜ、隊長。

こいつはハンセンと鶴田の因縁など知らぬだろうに、ロングホーンを突き上げて余韻に浸っていた俺を、バックドロップで投げやがった。

すっかり油断していたので、満足な受け身も取れず、俺は死んだと錯覚したね(^^;

だが、視界の隅に起き上がろうとする隊長の姿を認めると、俺の中からまだまだ闘志が溢れて来て、勝手に体が立ち上がる。

俺と隊長は、お互いの手が届くほどの距離で正対した。

俺はまだ動ける……隊長は限界に見えた。

今度こそ、この試合の幕を引こう。


「立ったからには、試合続行だ。俺の最後の攻撃、見事受け切ってみるか?」

満面の笑みで隊長。

「はぁ、はぁ、はぁ……当たり前だ。ふぅ……来い……受けてやる。」

俺は隊長の頭を抱え、股に挟んで腰に手を回す。

「うぉぉぉぉぉ!」

そこから隊長の体を頭上まで持ち上げて、体を宙に浮かせる一瞬の間に、俺は手を放して体を半回転、改めて腰に腕を回し垂直落下で一気に落とす!

パワーボムの体勢から体を入れ替えてエベレストジャーマンを決める、名付けてカイザースープレックス!!

(挿絵→https://43702.mitemin.net/i833599/)

ドガッと物凄い音と共に、少し地面が陥没するほどの威力。

俺は投げた後ホールドして、ゆっくり3秒数えてから体を起こす。

……俺は何とか立っている。

隊長はまだ生きているし、意識もあるようだが、もうピクリとも動かない。

カイザースープレックス、この技は、現実には存在しない技だ。

少なくとも、誰かが使っているところを俺は見た事が無い。

何しろ、この技は俺が高山善廣に使って貰いたいと開発したオリジナルホールドだからだ。

帝王高山だからこそ、カイザーである。

もちろん、そう言う妄想だ(^^;

プロレスファンなら、皆オリジナルホールドの開発するよな。

まぁ、実際に出来るかどうか試すのは無理な話だが、キン肉マンにも実現不可能そうな技は良く出て来るし、あくまで妄想なんだから別に良いよな。

だが、ぶっつけ本番、さすがの勇者ボディのお陰で、妄想通りのカイザースープレックスが完成した。

これで勝つる!……ま、隊長みたいにプロレスで相手でもしてくれなけりゃ、実戦でパワーボムの体勢に持ち込むなんて、余程の実力差が無ければ無理だけどな。


俺は、ピクリとも動けぬ隊長の横に腰掛ける。

俺の方も、かなりしんどい状態だ。

体が鉛のように重たい。

「……ふぅ、どうだい、隊長さん。ご満足頂けましたか?」

横になったまま、まだ息も整わず口を開くのも辛い隊長は、取り敢えず笑顔で応える。

ふと見れば、魔族の部下たちは皆、茫然自失状態だ。

隊長が破れたからか、戦いの内容に圧倒されたからか。

後者であれば良いのだが、やはり隊長が人間なんかに負けたのが信じられないのだろう。

一応コマンダーたちも確認してみると、どうやらお気に召したようだな。

ボニーとクライドは単に満面の笑みを湛えているだけだが、他の5人は涙まで流して感動している。

うん、お前ら戦うの好きだもんな。

俺のプロレスを楽しんで貰えたのなら、俺も嬉しい限りだ。

「……おい、クリムゾン。」

見やると、まだ体は起こせないようだが、隊長がこちらを見ていた。

「人間と侮ったつもりは無いが、自己紹介がまだだったな。俺は帝国方面軍第一遊撃隊隊長アスタレイだ。」

言って、右手を差し出して来る。

「あぁ、改めまして、冒険者のクリムゾンだ。」

俺はその手を握り返す。

「今日は生まれてからの“ピー”ん年の中で一番楽しかった。っとすまん、規制が掛かった。今のは忘れてくれ。」

規制?確かに今、魔術的なジャミングで一部掻き消されたな。

……こいつの年齢はトップシークレットって事か。

何故?誰にとって?……まぁ、良い。

忘れろと言うのだから忘れておこう。

強敵と書いて「とも」と読む相手の言葉だ。

素直に聞くとしよう。

「だが、楽しかったのは本当だ。それに、俺の目を覚ましてくれた。」

きっとアスタレイは、この先もっと強くなる。

人間族や勇者たちにとって厄介な敵を、俺は育ててしまったのかも知れない。

もし戦う事になったらすまんな、クリスティーナ(^^;

「……魔族の事を知りたい、だったな。本当は人間族にあんまり知られたく無いんだが、俺はお前が魔族の敵になるとも思わん。だから、お前には話してやろう、真実の魔族の姿を。」

その言葉に、部下たちの一部が声を上げる。

「た、隊長。お気持ちは判りますが、いくら何でもそれは……。」

「その男が特別なのは判りました。しかし、いくら隊長でも、独断で秘密を語るのは禁則事項に抵触するのでは……。」

部下の中のひとりが、声を上げた者たちを制止する。

「良いのだ。隊長にはその権限がある。隊長に任せて大丈夫だ。」

部下たちは、渋々ながら一応納得したようだ。

「すまんな、ゴンドス。こいつらも、お前の言う事なら素直に聞くんだよな。全くお前ら、誰の部下だと思ってんだか。」

ゴンドスと言うのは副隊長なのかな。

パッと見年嵩の純魔族に見えるが……さっきの“忘れた事”を踏まえると、多分アスタレイの方が年上だよな(^^;

他の部下連中は若く見えるし、あんまりアスタレイの事を知悉してはいないのだろう。

「よっと。」と声を出し、ようやく体を起こして胡坐を搔くアスタレイ。

「それじゃあ、ゴンドス様のお許しも出た事だし、お話ししましょうかねぇ、魔族の真実を。」

こうして俺は、ついに魔族について知る時を迎えるのであった。


つづく


特別あとがき(※小説家になろう投稿時執筆)


カイザースープレックスは“俺”のオリジナルホールドですが、もちろん私のオリジナルホールドです。

私は、地上波観戦ばかりの歴だけ長いコアとは言えないプロレスファンなので、もしかしたら地上波でお見掛けしないレスラーがすでに使っている可能性は否定出来ません。

しかし、“俺”がアーデルヴァイトに連れ去られた時点で“俺”は他の誰かが使っているところを見た事が無いので、作中では“俺”のオリジナルホールドである事をご了承下さい。


元々、カイザースープレックスはジャーマンでは無く、抱え込み式バックドロップホールドで落とす技でした。

私がジャンボ鶴田ファンだから。

後に、高山善廣ファンでもあるのでジャーマンもありだなと考え、バックドロップVer.をカイザースープレックス1(ワン)、ジャーマンVer.をカイザースープレックス2(ツー)と呼んでいます。

作中では、そこのところをだらだら説明するのを嫌い、割愛しました。


高山善廣は、他団体で川田利明にぼろ負けし、川田を追って全日のリングに上がった時から見て来ました。

最初は殴る蹴るしか出来無い、典型的なU系レスラーで面白く無い選手だと思いましたが、やられてもやられても川田に向かって行き、どんどん力を付けて行き、ギロチンドロップでスティーブ・ウィリアムスを降した頃から印象が変わります。

ゲーリー・オブライトと組んで暴れる頃にはすっかり好きになり、エベレストジャーマンと言うフィニッシュホールドを得て躍進し、大森隆男とノーフィアー結成の頃にはファンになっていました。

帝王高山には、多くの夢を見させて頂きました。

これからは、ご家族と穏やかに生活なさって欲しい。

私には、年に一度、事故に遭われた5月に寄付を続ける事しか出来ませんが、本当にありがとう、これからも応援し続けます。


TAKAYAMANIA

https://takayamania.buyshop.jp/


高山善廣オフィシャルブログ

https://ameblo.jp/takayama-do/

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