ごめんこれは予想外だった。

「ありがとね。この学校に来てくれて。」

「どういたしまして。んで…」

「?」


あのこれどういう状況なんです?


「膝の上に座ってるだけだけど?」

「……重い。」

「ふんッ!」

「ちょ!力入れるな余計重たくなるだろうが!」

「仮にも女の子に重いって言ったらダメなんだからね!!」

「ええ…」


そう。俺の膝の上に未咲が乗っている。

ちなみに俺の左肩に理咲が頭を乗せて寝ている。


いつから俺は家具になったんだ?


「あと…」

「何だ?」

「トカレフ…理咲には見せないでね?」

「分かってるよ…」


釘を刺された。

まぁしょうが無いか。小学5年生くらいだからな。理咲。


「それにしてもどうする気だ?このまま家に住むのも俺の親…は別に何も言わねえか…神蔵家とかの親族は引き取って「縁を切られてるよ。」消去法で俺の家に住む…かぁ…」

「君が良ければだけど…」

「俺は別に良い「そういう事だって」要らんわ!」

(お前自分の体大事にしろよ…アイツから守ってた意味が無いだろうが…」

「心の声…出てるよ…」


全く…最近の若いのはすぐ身体で払おうとするんだから…ああ俺も若いのだった。


「まぁ金は問題無いけど…部屋どうするん?また引っ越すとかはめんどくさいから辞めてくれ。」

「部屋は…まぁ大工でも呼んで作るわ。」

「流石金持ち…やる事が全然違う…」

「ははっ…俺なんかまだまださ…母親は石油王女だし父親は投資家でポンポン億超えの利益出しやがるし…はぁ…俺なんてまだまだだ…あっ300万の利益出た。」

「……もうここまで来ると怖いんだけど…」

「正直いえば金で買えないものって結構あるから金使って出来ることはたしかに多いけどさ…でも金は万能じゃ無いんだ。金がいくらあっても幸せを掴むことは容易くないし…逆に金が無けりゃ幸せどころか生きる事すらままならない。」

「それに上手く行き過ぎる人生もつまらない。人間は神が作った最高傑作で失敗作って言われる理由がよく分かるよ。」

「……なんだろう…こう…良い話してるんだろうけどお金の話のインパクトが強すぎて…」

「ええ…」


正直言って俺は金をそんなにジャブジャブ使う人間じゃないから貯まっていく一方だ。親はと言うとジャブジャブ使ってんのにどんどん貯まってく!まじでわからん!


「……私もこの家で産まれたかったな…」

「自分の親を否定するのは良く無いよ。自分の存在を否定してるのと一緒だからな。腐っても親だ。親がいなけりゃそもそも産まれて来なかったんだからさ。」


……なんだかちょっと堅苦しい話になって来たな。


「腹減ったし何か食べに行こうか。」

「どこ行くの?」

「肉より魚派なんで寿司でも食いに行くか。」

「じゃあ私も行っていい?」

「いいよ。今日から同居人だし奢るよ。」

「何々?お寿司食べに行くの?私も行く!」


理咲が起きた。


「じゃ…行こうか。」

「うん!」


……あのすいません勝手に手を繋がないで頂ける?

……解けないし…


「じゃ行こうか。珀真君。」

「行こう!お兄ちゃん!」


元気っ娘と落ち着いた娘に挟まれて移動する俺の気分はどうだって?


(最悪です。通行人の目が痛いです。特に男性。お前を殺さんとする視線がヤバいです。)

「どうしたの?」

「いや…何でもない…」


剣道の試合以外で浴びたことのない視線だ。やっぱちょっと怖い。


店内に入った。


『予約番号を入力してください。』


あらかじめスマホで取った予約の番号を入力してチェックイン完了。あとは待つだ早…もう呼ばれた…


そうして俺らはテーブル席に座る。


財布の中には一応26万入ってる。いくら食べても大丈夫そうだ。


「何でも取っていいぞ。」

「ほんとに!?やったー!」


……まぁ大丈夫だろ。


…………15 分後。


「30枚…一人でぺろっと行っちゃった…」

「まだまだ行けるよ!」

「その身体の一体どこに入るんだよ…」


薄い身体にどんどん入ってく…

ブラックホールかよ…


「そういう君も40枚食べてるし…まぁ君はその筋肉に吸収されていくか…」

「20枚しか食べれてないけど…大丈夫か?」

「私はそもそもそんなに食べれないしね…」

「無理はするなよ…」


30分後…


「ちょっと食べすぎた…」

「あはは…ちょっと太るかも…」

「大丈夫だ。カロリー的にはすぐ消える。」


そんなこんなで会計を済ませて店を出た。(万札が2枚飛んでった。)


「じゃ…帰ろうか。」


そう。俺はこの事を非常に後悔している。


























やっと見つけたよ。ダメじゃないか、私がいながら浮気なんて。








俺は本能が身体を乗っ取った。

というより理性が身体を売った。


「とっとと失せろこのクソアマ。」


想定外だ。こんなに早くに見つかるとは思ってなかった。


「どのツラ引っさげて来やがったんだテメェ。」


俺の目線の先に、俺が最も嫌う生命体が立ってた。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る