第2話 相棒と町の住民たち
「それでカウンターが焦げてるのか」
保安官のジョーが、焦げたカウンターに手を置いた。
「ふんっ」
焦げたカウンターは元特殊部隊隊員の筋力に耐えた。
「表面だけみたいだな。それにしても、さすがは付喪神様だ。流石ですね」
保安官のジョーの賞賛の目がビニール傘の相棒を捉えていた。
「いや、夢中だっただけっす」
「何を何を。いざという時に発揮できるのが実力ってやつだ。実に素晴らしい」
「照れるっすねー。保安官のジョーにそう言ってもらえるなんて、とっても嬉しいっす。ありがとうございやす」
保安官のジョーとビニール傘の相棒のやり取りに、タカは我に返った。
「ありがとう相棒。君は命の恩人だ」
「相棒だからね」
「保安官もありがとうございました」
「仕事だからね」
ビニール傘の相棒の口調をまねた保安官のジョーの口調に、笑い声が広がる。
タカは、相棒と呼ぶ付喪神のビニール傘に最初に会ったときのことを思い出していた。訳が分からずにいたタカを
「あと、これは大切なことなのですが、気持ちをしっかりもって聞いてくださいね。世界を行ったり来たり出来るのは、相当に高い適正がある方だけなのです。例えば、
ビニール傘とは、相棒と呼べと言われて、
焦げたカウンターに、あらためてビニールという熱に弱い素材なのに立ち向かってくれたビニール傘の相棒への感謝の気持ちが、タカの中に湧いてきた。この感謝を、ビニール傘の相棒の先輩である付喪神たちにも伝えてこそ、タカと相棒は本当の相棒になれる気がする。
今晩は、化け猫姐さんたちにお願いしてお店でお祝いをさせてもらおう。お祝いに、お店で烏天狗にもらったお酒を皆で飲みたい。こちらでの生活を当たり前のように考えた自分に、タカはちょっと安心した。
「いらっしゃいませ」
引き戸が軽い音を立てた。顔には
「タカさん、すまねぇけど手ぬぐいをかしておくれ。店を濡らしちまう」
「はい」
「ありがとうよ。また氷菓をもらおうかい。仲間の分ももらいたくてね。お代はこれでどうだい」
河童が差し出した
「こいつはなかなかに旨いんだ。素人が焼くのは難しいから
「美味しそうですね。ありがとうございます」
「何、前にタカさんにやった米を旨い握り飯にしてくれたからね。その礼さ」
「竈門の神様のおかげですよ。 ここの湧き水は水神様をお祭りしてますし」
タカはこの町で、様々な住民たちに支えられて生きている。
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