魔獣関連
■魔獣の格付に関して
魔獣の格付けを制定したのは聖王アーサーであり、彼がイセリア文化圏のほぼ全てを手中に収める過程で大々的に発布した。
それまで魔獣討伐を行うのは国家保有の軍隊や貴族が後見をつとめる騎士団と限定的だったが、聖王アーサーの時代からは傭兵や冒険者なども多くの仲間を集め魔獣討伐に乗り出したため、明確な報酬制度の導入が必要となった。
明確な報酬制度=明確な魔獣の格付けとなり、これがイセリア文化圏を制覇した聖王アーサーの時代に広まったため、作中の時代でもイセリア文化圏内ではどの国でも概ね同等の討伐報酬が貰える様になっている。
作中の時代では、下級及び中級の魔獣討伐は各地方の領主から冒険者ギルドに討伐依頼が出される。
依頼を受けた冒険者ギルドは冒険者を募り、集まった冒険者の中から代表者を定め討伐の段取りにまで関わるのが通例。
下級魔獣の討伐は冒険者のみの派遣で済ませる場合が多いが、中級の場合は冒険者ギルド職員が同行する事になっている。
この時討伐に同行するギルド職員は直接戦闘員では無く、環境魔法の使い手か治癒士である場合が多い。
上級魔獣の討伐は地方領主が指揮を執り領内の領軍と騎士家から戦闘員を募る。
人材不足の場合は冒険者ギルドに補充人員募集の依頼が出される。
特級魔獣の討伐は国家が主導し国軍を討伐に当たらせるのが通例。
サリィズ王国の場合は、王国軍内で特級魔獣討伐部隊が編成され任務を遂行する。
この際、宮廷からも宮廷騎士と魔法使いが派遣される。
上級以下の魔獣に関しては完全撃滅が求められるが、特級魔獣に関しては討伐出来なくとも撃退でも任務成功とされている。
■魔獣討伐の副産物
魔獣討伐の主産物は人間社会への脅威の撲滅であり、平和と安寧になる。
特に行商人や農民など街や集落の外で活動する者たちからすれば、魔獣の存在は脅威でしかなく、討伐隊に対し金銭支援する豪商や豪農は多い。
これに対し魔獣討伐の副産物は、討伐した魔獣の表皮や毛皮、角や爪、骨や肉に至るまで余すことなく、これらは総じて一般的な獣よりも高品質で価値が高い。
魔獣討伐の副産物が多く流通してる街には、それを目当てに多くの商人や加工職人が集まり活気付くため、街の人口が増え経済が潤う。
そのため各都市の冒険者ギルドは有能な冒険者の獲得に躍起となっているのが現状。
国軍や領軍を退役した元兵士らを挙って取り込み、他の都市のギルドからの引き抜きなども横行している。
国軍や領軍からの引き抜きは禁止されているが、それを防止する事は難しくどの国家も厳罰化を図るが抑止効果は薄い。
その経緯があり、現在有能な冒険者の価値は高まっており比例して冒険者ギルドの依頼料も高騰している。
冒険者ギルドの依頼料の高騰が進むと、高額な依頼料を払えない庶民等は自警団や傭兵団を頼る様になった。
自警団は元軍兵や冒険者が故郷に戻ってから仲間らと立ち上げるケースが多く、傭兵団は軍やギルドなどで重用されない豪族出の若者らが決起して興す場合が多い。
この他の副産物としては高純度の属性石があげられる。
魔獣が発生する場所は高濃度のマナ溜りとされており、魔獣はマナを糧に成長を遂げる。
この体内に取り込んだ高濃度のマナが石化したものが属性石であり、討伐後は解体して取り上げられる。
魔獣の体内から排泄される属性石もあり、魔獣が出現する地域には地面に属性石が転がっている。
一般的に上位の魔獣から純度の高い属性石が得られるとされている。
討伐により得た魔獣の毛皮や角、属性石などの副産物の所有者は討伐した冒険者らに帰属する。
これを自分たちで加工職人らに売り捌いて金を得る事も出来るが、最近は冒険者ギルドが一括で買い上げ加工職人らに分売するシステムが構築されつつある。
■魔獣討伐の報酬
・下級魔獣……魔獣の主属性が単一
冒険者ギルド推奨の討伐部隊人数は、戦闘職だけで二十名とされている。
水食糧を運ぶ荷馬車一台だけギルドに手配してもらい御者は戦闘職が交代で兼任する。
魔獣の出現場所にも因るが、通常は討伐まで3から5日を要し見事討伐達成した場合は、ギルドから討伐隊に対し金貨3百枚(約3百万円程度)が支払われる。
下級魔獣の場合は討伐報酬が一律で定められており、各個の報酬を増やす為に推奨人数より少なく編成を組む討伐隊が殆ど。
下級魔獣討伐成功の場合、成功報酬の金貨3百枚と副産物を売り捌いた分を合わせると概ね金貨五百枚程度の稼ぎとなる。
これを20人で割ると1人当たり金貨25枚となり、10名で討伐すると金貨50枚、5名だと金貨100枚となるため、ハイレベルな冒険者が少人数で下級魔獣ばかりを討伐するケースも少なくない。
下級、中級、上級魔獣の場合基本報酬を負担するのは、該当地方の上級貴族となっている。
トリス街近郊で年間の下級魔獣発生件数は25件ほど。
そうなると下級魔獣討伐だけでも年間に金貨7500枚(7500万円)の予算を組む必要があり、地方領主からすれば頭の痛い問題になる。
・中級魔獣……魔獣の主属性が複数
討伐隊のギルド推奨人数は50名。
下級の場合とは異なり、中級魔獣の討伐隊編成の主導はギルドが担う。
過去の事例から算出される平均的な討伐日数は約20日前後。
主属性が2種の場合の基本報酬は金貨2千枚、3種の場合は金貨3千枚、4種の場合は金貨4千枚と設定されてある。
しかし基本報酬だけでは強者が集まり難いため、冒険者ギルドは魔獣が出現した地方の下級貴族、豪商、豪農らから資金を募り、これを特別報酬として活躍した冒険者らへ配当している。
通例では主属性が2種の段階で討伐が計画され速やかに遂行されるが、過去に計画段階の調査では2種と報告があったが、実際に現地で戦いが始まると3種の魔獣だったと発覚することがある為、中級魔獣討伐の際は冒険者ギルドの職員が必ず同行する。
この同行職員は冒険者らの活躍度合の査定をも兼任している。
2種の魔獣討伐を達成した場合、基本報酬と副産物を売り捌いた分と合わせると概ね
金貨2500枚程度の稼ぎとなり、これを50人で割ると1人当たり金貨50枚得られる。
これに活躍報酬が上乗せされるので、働き次第では金貨100枚程度の報酬が得られる。
トリス街近郊で年間の中級魔獣発生件数は10件ほど。
全て2種の魔獣だったとしても年間で金貨2万枚の予算が必要となり、下級魔獣と合わせると年間で約金貨3万枚(約3億円)もの予算を組まなければならない。
4種の魔獣は上級魔獣と同等の強さを誇るため、領軍主導となる場合がある。
・上級魔獣……キメラ種(複数の魔獣が合体したもの、と考えられている)
過去の討伐隊編成人数は100名前後。
討伐までの日数は30日程度。
中級以下の魔獣とは桁違いの大きさと強度で、尚且つ主属性が3種以上を確実に有している。
上級魔獣の場合、実際に現地で部隊の指揮を執るのは軍属騎士だが上級貴族家の者が帯同(護衛万全で安全を確保した上で)するため、武名を上げるために軍属ではない若い騎士らも多く参戦する。
戦時中や有事の際の上級魔獣討伐は、軍属騎士や兵士の人数が乏しいため領主から冒険者ギルドへ冒険者の派遣依頼がある。
過去の事例から討伐に成功した場合は金貨200枚、失敗した場合は金貨50枚程度が支払われている。
各都市で最強クラスの冒険者は討伐の度に声が掛かり、過去には見事な働きを見せた者が金貨500枚もの報酬を得た。
トリス街近郊で年間の上級魔獣発生件数は1~2件ほど。
・特級魔獣……ドラゴン種(山の様に巨大かつ、精霊種や下中級程度の魔獣を多く引き連れている)
過去の討伐隊編成人数は500名前後。(討伐では無く撃退に必要な最低限の兵士数)
計画から撃退までに必要な期間は約2ヵ月。
ドラゴン種の棲息地は古来から定まっている。
(火山地帯、雪原、古代湖、山脈地帯の最高峰など膨大なマナが集まる土地)
その為ドラゴン種が起因で、多くの人間が生活する大都市を襲撃する事はない。
しかし人間が未開の土地を開拓する際には、ドラゴン種の領域に踏み込んでしまう事があり、時と場合により集落や農村などが襲われてしまう事がある。
ドラゴン種を撃退出来れば、引き連れていた精霊種や小さな魔獣も撤退するため、多少の犠牲を払いつつもドラゴン種撃退を優先する作戦を執るケースが多い。
サリィズ王国の場合、ドラゴン種討伐隊の隊長は代々の宮廷騎士団団長が務め、参謀には宮廷魔導師が就いている。
上級魔獣討伐と同様に、上級貴族が帯同するため武名を上げるチャンスでもあり、多くの若き騎士たちが参戦してくる。
特級魔獣討伐で目立った活躍を見せた者が、その後に宮廷騎士団へ入団したケースは幾度もあるため、特級魔獣の襲来を待ち望んでいる者も少なくはない。
サリィズ王国で特級魔獣発生件数は3~4年に1度程度。
ドラゴン種の領域に踏み込まなければ襲撃される事は無いが、人間は未開の地への開拓を止める事は無いため、どちらかが全滅するまでこの争いが終わる事は無いとされている。
・精霊種……実体を持たない、マナの集合体。
物理攻撃が通用しないため、討伐するには精霊魔法、神聖魔法、召喚呪法などの魔力を活用した攻撃手段が必要。
強さや攻撃性が個体により異なるため、討伐報酬はギルドの査定に一任されている。
正体不明の魔獣を精霊種として扱うケースが多いため、いざ現地で出くわしてみると実体を有する魔獣だったりする事もある。
ササラ文化圏では精霊種の魔獣を幻妖と呼び実体を持つ魔獣とは異なる存在として捉えている。
精霊種は得体が知れないと言う理由で冒険者から敬遠されがちで、イセリア文化圏では放置されるケースが多い。
ウリヤ文化圏では神聖格闘術により精霊種に攻撃を加える事が可能なため、他の魔獣と同様に討伐されている。
ササラ文化圏では他の地域より精霊種が多く発生するため、ササラ人は綜呑により取り込み自身の力としている。
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