第10話 迷宮とクリスマス

 辺境のラグダス迷宮、地下5階。


「うぉおおりゃあ」

「ていやぁ」

「ファイアアロー」


 冒険者たちが敵、アース・ゴーレムを攻撃していた。

 蓄積したダメージによりゴーレムはやっと粉々に砕け、魔石だけが残される。


「ふぅ、お疲れ様」

「今回も勝てたわね」

「よし、今日はこれで上がりだ」


 階層を戻っていき、迷宮から出る。

 迷宮の入口の周りには、何組もの冒険者パーティーがキャンプをしていて、鍛冶屋、雑貨屋など何軒かの出店が出ていた。


 夕食の支度をして鍋が煮えている。 


「ガルド、今日はクリスマスだな」

「あぁ、そうかもう12月25日か」

「らしいな。地下にいると分からなくなりそうだ」

「ほら、ガルド、バーグ、クリスマスおめでとう」


 三人のうち、紅一点のシータが笑いかける。

 シータがアイテムバックをあさりそれを取り出した。


「ああ、おめでとう、でこれは?」


 ガルドが聞き返す。


「甘いクッキー、クリスマスだからね。とっておき」


 三人で久しぶりのクッキーを食べる。

 その甘味は身に染みるようだった。

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