第9話 異世界クリスマス

 この世界にもクリスマスに該当する行事があった。

 俺はトウヤ。まぁ転生者というやつね。

 それはそうだろう。正確に言えばこれは冬至祭りだ。それが新年祭といっしょになっているのが、いわゆるクリスマス。ハッピーホリデーズというやつだった。

 冬至というのは惑星の地軸の傾きの関係で、昼と夜がもっとも短い日をいう。

 傾き方が地球と同じってことだ。

 地球によく似た惑星にいるということになっているらしい。全部神が仕組んだことだ。


「メリー、クリスマース」


 どこかのサンタが通りでプレゼントの飴を配っていた。

 麦芽糖の飴だ。これは砂糖が輸入される前からあるもので、庶民のおやつとして親しまれている。


「わーい」

「ありがとう、サンタさん」


 子供たちがそのサンタさんに集まってきて、みんなお礼を言って受け取っていく。

 俺は冷や汗ものだ。


 あのサンタのおじいさん。

 実は国王なのだ。


 国王自らサンタの格好をして、王都市民を観察している。

 実になんというか恐ろしいものを見た。

 

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