第8話 姫様の新聞

「エリーナ姫様、今日の分の"新聞"です」

「いつも、ありがとう」


 執事がエリーナ様へそっと紙にまとめた昨日今日の話題が掲載されたものだった。

 これは執事が城内で話を聞いて回り、自分で執筆した自作品だった。


 ことの始まりは一年ほど前のことだ。


「あぁ、忙しい」

「そうでございましょう」

「それで、今日の話題はなんだったかな」

「ミルクティーが流行っているという話ですな。モーゼス公爵の奥様が紅茶にはまりなんの紅茶が素晴らしいか考えたところミルクティーにたどり着いたということで」

「あぁ、なるほど」

「はい」

「それにしても、話題をいちいち聞いている時間がもったいない」

「左様で」

「そうだ。明日からは最新の話題を紙にまとめてくれ。名付けて"新聞"だ」

「わかりました」


 そう姫様がおっしゃった。

 姫様は多才であり、騎士の訓練、政治、事務処理と多忙を極めてた。

 姫は新聞を持ち歩き空き時間に読んだのだ。


 これがこの世界における新聞の始まりとなり、のちに世間に広まっていくという。

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