第4話 ギルド嬢の憂鬱

「銀貨4枚です。ありがとうございました」

「あいよ」


 ささっと帳簿をつけてこのお客様、冒険者の処理をしてしまう。

 冒険者ギルドの美少女受付嬢。メルラそれが私だった。


 さっと「クローズド」の表札を受付カウンターに置こうとしたところ、次に並んでいた冒険者が鼻息荒くカウンターにやってきた。

 そして表札をさっと横にどかす。


「なあ、昨日他の受付に並んでさぁ、聞いてくれよ」

「あ、あのお客様、今からちょっと休憩なんですけど」

「いいからいいから」

「でも」

「それでな、薬草の買い取り額が安かったんだよ。でさ他のやつに聞いて回ったらもっと高く買い取ってるってわかったんだわ」

「はぁ」


 困った。どうやらクレームらしい。

 でも困っているのはクレームの内容ではない。


"おしっこ行きたい"


 長時間座っていると暖炉がある部屋でも、お尻が冷える。

 トイレに行きたくなってしまったのだ。


「でさぁ」


 いいから、あっち行って欲しい。

 でもおしっこしたいだんて言えないし……。

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