第8話

「いけないイルス! 早くそいつを倒して! その男は仲間を呼んでるの!」


 ジンが俺が昔買ったボロショットガンを持ち出して、階段から顔をだした。マスターも起きだして、ジンの隣で顔をだしていた。マスターは、俺の方へジェスチャーを送る。


 そのジェスチャーは、「即効で倒せ」の意味だった。


「OK! フン!!」


 俺は全身の筋肉をギュッと絞った。グギュっと身体中から鈍い音が発せられ、俺はそのままで前方へ一歩飛び出した。相手の腹部に腰を低くして正拳を放つと、店内全体を激しい衝撃音が襲った。


 ズドンとした音と共に、派手な服装の男が後方へ吹っ飛んだ。


「またのご来店を、お待ちしております」


 俺は派手な服装の男が破壊したドアに向かって、丁寧に頭を下げた。


…………


「ジン。今日からは二階の一つのベッドで寝ろ。俺とマスターは一階のテーブル椅子で寝ている」

「そ、ありがと」


 ジンにあてがった部屋は、元々は俺の部屋だった。

 昔は、この部屋は「 キアニーナ・ビステッカ」の前の店長さんの部屋だった。前の店長さんは、今は海外へ行っている。

 

「ふあああっと、俺はもう寝るぞー」


 ドアを覗くと、一階へ降りたマスターが、寝袋片手にテーブル椅子に寝っ転がっていた。今日はもう刺客はこないのだろうと思う。明日からは、アンダーワールドへの入り口を探すことにした。ひょっとすると、アンダーワールドへの入り方をジンは知っているのかも知れなかった。


「おやすみ」

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