第8話
階段を嵐のように降りると、真っ正面に立っている奴から、手刀を浴びせる。高速の手刀はそのままガタイのいい真っ黒な戦闘服の男の首を捉え、グキッと派手な音がした。ガタイのいい他の男たちがイスラエル制のウージーを一斉に向ける。
俺は身を低くして、右、左と、男たちの隙に回し蹴りを打った。
男たちが銃を撃つ前に、全ての男たちが昏倒した。
「ふぅ、こいつらは前に受けている依頼の奴らだな。だが……そいつは……」
一人だけ、恐ろしいほどに長身の男が突っ立ていた。
その男がユラリと、派手な服装の腰に差した長刀を抜いた。
派手な服装と同じ、黄金色に輝いた刀身は、薄暗い店内で男の服と一緒に光を反射している。
俺は、首をちょっと傾げた。
そいつの身体が半透明だったからだ。
「キィ―――ーー!!」
奇妙な耳障りな声を発し、俺の傍へとにじり寄ってくる。
「いけないイルス! 早くそいつを倒して! 仲間を呼んでるの!」
ジンがとても古いショットガンを持ち出して、階段から顔をだした。マスターも起きたようで、俺の方へジェスチャーを送っている。
そのジェスチャーは、即効で倒せだった。
「OK! フン!!」
俺は身体中の筋肉をギュッと絞った。グギュっと身体から鈍い音が発せられ、俺はそのままで前方へ一歩飛び出した。相手の腹部に腰を低くして正拳を放つと、店内全体を激しい衝撃音が襲った。
ズドンとした音と共に、派手な服装の男が後方へ吹っ飛んだ。
「またの来店を、お待ちしております」
俺は派手な服装の男が破壊したドアに向かって、丁寧に頭を下げた。
…………
「ジン。今日からは二階の一つのベッドで寝ろ。俺とマスターは一階のテーブル椅子で寝ている」
「そ、ありがと」
ジンにあてがった部屋は、元々は俺の部屋だった。
昔は、この部屋は「 キアニーナ・ビステッカ」の前の店長さんの部屋だった。前の店長さんは、今は海外へ行っている。
「ふあああっと、俺はもう寝るぞー」
下を覗くと、一階へ降りたマスターが、寝袋片手にテーブル椅子に寝っ転がっていた。今日はもう刺客はこないのだろうと思う。明日からは、アンダーワールドへの入り口を探すことにした。ひょっとすると、アンダーワールドへの入り方をジンは知っているのかも知れなかった。
「おやすみ」
俺はそう楽観視もして、一階へと降りた。
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