第6話
アンダーワールド……。闇医者にお尋ね者。非合法組織に、テロリスト。そんなものたちの行き着く場所だった。
俺の情報網では「シンフォニック・エラー」が一番最初に発生した都市がそこだとも言われている。
「ふぅー、ジン。これだけは言っておく。階段のそこには手を振れるな……」
「へ? ここ?」
俺は、その階段の踊り場にある鏡の横を指差した。
ジンは踊り場で、ニコニコとしながら指摘したところを今も右手で触れている。
「ああ。そこには、ある武器が隠してあるんだ。金の無い時に中古で買った銃だから、引き金が軽いんだ。かなり危険だぞ」
「うん……わかったわ」
その時。
ジンの顔色が一瞬、ほんの少し変わった。狐耳をひょっこりとだして、俺に真面目な目を向ける。何かに警戒している。その瞳は、怯えた目だった。
カランカランとドアが開く音がした。
階下から数人の訓練された足音がする。
「さっき言った言葉を撤回する。そこから武器を取れ!」
「え? いいの?」
「ああ、弾は装填されている。引き金が軽いから気を付けろ!」
俺はマスターを床に静かに置いて、階下へ走りだした。
階段を嵐のように掛け降りると、真っ正面に立っている奴から、首筋に手刀を浴びせた。高速の手刀はそのままガタイのいい真っ黒な戦闘服の男の首を的確に捉え、グキッと派手な音がした。ガタイのいい他の男たちがイスラエル制のウージーを一斉に向ける。
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