第3話

「ヒッッ! ちょっと待って! 気に障ったんだったら謝るわ! ごめんなさい!」


 頭を下げた少女の髪から突然、動物の両耳が現れた。

 少女はそれに気が付いたようで、尚更慌てふためいた。


「あやかしか……」

「う?!」


 ここサイバー・ジャンクシティにも、大昔の日本から伝来するあやかしがいる。元々、ここは日本という国だったようだ。


「あの……依頼に来たの……」

「それで……?」

「それで……お願いしてもいい? 母がとある組織に囚われてしまっていて……グスン……」

「それで……?」

「助けてほしいのよ……」

「それで……?」

「……依頼料はGNPの50倍よ」

「?! な?! 冗談だろ!!」

「無理?」


 少女は小判のストラップが付いたスマホを差し出した。

 俺もスマホを取出し、スマホ同士でコードを繋いだ。

 途端に、俺のスマホが悲鳴を上げるかのようなカウント音を発した。

 液晶に映し出された金額は、確かにGNPの50倍は軽くいっていた。

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