第2話 エピソード 1

 カラン、カランとガラス製のドアを開けて、一人の少女がカウンター席へ歩いていく。


「いらっしゃいませー」

 

 その少女は掃除をしている俺を見て、ちょっと小首を傾げる。カウンター席から離れると、モップの片付けに入っ俺の背後に回った。そして、俺の今は休ませている感覚でもわかるほど、激しく後ずさったようだ。


「うん? 何か御用で?」


 俺は振り向いてから首を傾げた。


「あ、あの。ちょっといいですか?」

「ええ……」

「ここに、アサシン兼掃除係がいると聞いたのですが?」

「……」


 俺はぎょっとして、口を静かに開いた。


「誰に聞いたんだ……」


 俺は途方もない殺意と警戒を込めた瞳を少女に送った。

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