星々で構成されたシンフォニー
主道 学
第1話 プロローグ
黒い色の雨が空から降る夜だった。
激しい雨の中。308階の超高層タワーの天辺のフェンス越しで、一人の尻尾が生えた女が佇んでいた。
そして、女は何を思ったのか、遥か遠くのアスファルト目掛けて飛び降りた。
空から激しい雨が降り続ける中。強風と共に女の身体は、ユラユラと吸い込まれるかのように地面へと落下していく。
元は都会のネオンが煌びやかなこの街は、その光が排気ガスによって、真っ黒に覆われていた。
超高層タワーの仄かな明かりが、女が落下するほど、通り過ぎていくほど、明滅し、停電したかのように消えていく。
女が落ちるべき。
地上の交差点のど真ん中は、すぐそこまで来ていた。
だが、尻尾の生えた女は、これでいいんだとでも思っているかのような。とても安らかな顔だった。
…………
ここはサイバー・ジャンクシティ。
世界中を巻き込んだ核戦争後でも、逞しく生きる人々によって、作られた。いわば屑鉄でできたゴミ箱だ。
だが、全てが終わりを告げる時は、誰にも予想できずに突然来てしまうもんだ。
当然、この街にも。
終わりの時がきた……。
世界中のネットワークに垂れ流される。
原因不明のエラーの数々。
インターネット、経済、医療機関、警察機関などは瞬く間に崩壊し、人々は恐怖、不安、不信感、疑念、猜疑心から、その狂騒曲のような現象を皮肉を込めてこう言った。
『シンフォニック・エラー』と……。
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