君との日々よ〜新しい物語〜

Altair

第1話 君との出会い 〜希望と絶望〜

高校2年生の秋、あの日は確かハロウィンだった。街はコスプレをした人で溢れかえっていた。右を見ればバニーガールのお姉さん、前にはアニメキャラの格好をした人

どこを見てもみんな仮装していた。そんな中、自分は友達と学生服で場違い感を醸し出しながら楽しんでいた。夜になるとみんな広い広場に集まり、ナンパする人や記念に写真を撮る人、雑談する人でいっぱいだった。

 

 あのとき自分も広場に行かなければ、そもそも街に出なければ君と会うこともなかったし、こんな思いもすることがなかったのだろう。


  広場に行くと3人組の女子高生に会った。その中のチャイナドレスの仮装をした女の子に一目惚れをした。自分のタイプにドストライクの女の子だった。その日はハロウィンだったこともあり、話しかける口実は山程あった。僕は女の子に写真を一緒に写真を撮ってほしいと声をかけた。緊張で声が震えていたとのちのち彼女にバカにされたこともあった。快く写真を撮ってくれた女の子にお礼でお菓子を渡した。その際どさくさに紛れて連絡先も聞くことができ、うきうきとドキドキで酔いそうになりながら家に帰ったのを今でも覚えている。


 家に帰りさっそく交換したInstagramのDMに今日のお礼をおくった。


「写真を撮ってもらったものです。急に声かけてすみませんでした。すごくチャイナ   ドレスにあってました!」


すると送った直後に女の子からDMが返ってきた。


「こちらこそありがとうございました!お菓子も美味しかったです!」


あ〜なんてこの子は可愛いんだろうか。返信も早いしもしかしたら脈アリなのでは?

高校2年生の自分は返信が早かったり、笑顔を見せてくれたり、ボディタッチされるだけで好きなのでは?と勘違いしてしまうような痛い男子で、勝手に好きになって、勝手に悲しくなったりすることが多々あった。


 そこから、女の子とやりとりを続けて1個下の街外れの高校に通っていることや、彼氏とは4ヶ月くらい前に別れたこと、バイトのことなど色んなことを話した。

ある時、勇気を出して電話に誘いその電話から初デートの約束まで持っていった。


 初デートと言ってもバイト前の空いた時間に少し会うだけだったが、それでも自分からしたら立派なデートだった。待ち合わせ場所に行くと、白いコートに小さな身体を包み込みに手を降ってくる可愛い女の子。自分の好きというボルテージはマックスどころか限界突破だった。初デートが肝心だと気を引き締めて手をふる女の子の元へ行った僕だが顔はかなり緩んでいたことだろう。ニヤニヤが止まらないのだ。


 とりあえず近くのファストフード店で軽くご飯を食べて、その後プリクラを撮りに行った。慣れた手付きでプリ機を操作する女の子、それをみて女子すごいなと感心する自分。撮ったプリクラを額縁に入れて飾ろうかと思うほど大切にしたいと思える1枚だった。バイト先まで一緒に行く道中で次のデートの約束をしてその日はかいさんした。次のデートの約束までできたのは上出来だった。ネットで前日、初デート必勝法を見ておいて本当に良かった。


 次のデートまでは2週間ほどありその間毎日のように電話してコミュニケーションを取った。

 

 2回目のデートの日はスケートに一緒に行った。女の子は昔スケートをやっていたようですぐに転んでしまう自分を見てたくさん笑っていた。好きな子の前では格好をつけたいのが男子の心理だ、普通なら恥ずかしさでこのまま遠くまで転がって行きたいと思うだろう。だが、このときの自分はこの可愛い笑顔を見ることができて幸せだと心の底から思っていた。余談だが男子は恋をすると普通ではなくなる。IQ3くらいになってしまうのだ。(俺調べ)そんな自分を見かねた女の子は僕の手を取り一緒に滑ってくれた。このときが初めて手を繋いだ記念すべき瞬間だ。滑れないことはどうでもいい。好きな子に手を握られるそれだけで氷のリンクを溶かしてしまうくらい

自分の心はドキドキで燃え上がっていた。


 スケートを終えて夜ご飯を食べに焼肉屋に行った。もちろん焼肉屋は予約していたのですぐに席につくことができた。食事をしているとある人からLINEが来た。

送り主は自分の元恋人だった。


「いま女の子と一緒にあるいてた?」


元恋人とは4ヶ月程付き合ったが馬が合わずに自分から振って別れてしまったのだ。

別れてから半年以上経っていたが共通の友達から未練があるということを知らされていたからこのLINEが来たのには驚きはしなかった。女の子はだれから?と尋ねてきたので正直に話をした。そのうえで元恋人に女の子の前で返信をした。


「好きな人ができた」


今考えれば、女の子の前でこの返信はもう告白に近いものだったと思う。


元恋人からは頑張ってねとただそれだけの返信で会話は終わった。


 食後の帰り道、寒いことを理由に女の子と手を繋いで最寄りの駅に向かった。

その道中公園があり、電車の時間まで少し話そうと寄り道した。そこで僕は彼女に

自分が好きだと言うことを伝えハグをした。驚いた顔をした女の子だったが優しく抱き返して耳元で同じ思いであることを伝えてくれた。そのときに付き合ってしまえばよかったのに電車の時間がギリギリのため足早にホームへ向かい帰ったら電話しようと約束だけして解散した。


 その日の夜、両思いであることを知った自分はかなり興奮していた。


 だがその興奮を一気に冷まされる言葉を告げられることになる。


 女の子から電話で伝えなければいけないことがあるといわれ、嫌な気がするなと

思っていた自分の鈍い勘がその日は珍しく当たったのだ。暗い部屋に響く女の子の

言葉は自分を闇に引きずり込まれてしまいそうになるものだった。


「これをあなたに伝えたら嫌われると思ってずっと言えなかった」

「でもこれを黙っているとあなたに申し訳ない」


そんなことを言われ俺はドキドキしていた。この雰囲気だと何を言われてもバッド・エンドしか思いつかない。腹をくくり彼女に「なに?」ときいた。すると、


「実はあなたは私の元彼に似ていて、そこを好きになったの」

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