閑話 ホラゲー

※本日2話更新(2/2)

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 これは、第1回ホラゲー配信での一幕 ――


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◇オープニングムービー


 一人の男がリビングのソファで寛いでいると、テーブルの上でスマホが鳴りだした。

 男がスマホを手に取り通話を開始すると ——


「あ、もしもしパパ?今日友達のとこに泊まるから。それじゃね」


 娘からの電話は、一方的にそう言って返事するまもなく切られた。


(誰に似たのやら...)


 そう思いながら玄関の施錠をしに向かったが ——


(Prrrrr Prrrrr...)


 今度はリビングで家の電話が鳴り響く。

 急いでリビングへと戻り受話器を取ると ——


「も…もし、あ…た?迎えをやった…か…、教会で待っ…るわ」


 そう告げて電話が切れた。


 その声は酷く潰れていて聞き取りづらかったが、去年死んだ妻のように聞こえた。

 戸惑う男の耳に、玄関の方から物音が届いた。


(そう言えば、さっき鍵は...)


 思い出しながら玄関へと振り返った男の目の前には、見覚えのある男 ——


—— 先月死んだはずの、2軒隣の老人が目を血走らせて立っていた。


 襲い掛かる老人、その手には斧が握られている。

 男は咄嗟に身を躱し、暖炉脇に置いてあった火かき棒を手に取り叫んだ。


「おい!あんた何者だ!あの爺さんの兄弟か何かか!?」


 土葬とは言え、まさか這い出てきたわけではなかろう。

 埋めてからひと月は経つ、葬儀には自分も立ち会ったのだから間違いない。

 そう思い声を掛けるも返事はなく、呻き声を上げながら再び襲いかかってくる。


 身の危険を感じ、火かき棒を持つ手に力が篭る。

 そして —— そのまま老人の頭へと振り抜いた。



 死体を前に、暫し呆然とした男だったが、このままにしておくわけにもいかない...。

 そう思い受話器を取るが繋がる様子は…そもそも反応が無い。

 ならばとスマホを取り出すが同様に繋がらず、よく見ると圏外になっていた。


 訳の分からない状況。

 娘のことも心配だが、友達と言われても家が何処かなど分からない。

 せめて無事で、そう願うしかなかった。


「さっきの電話...。よく聞こえなかったが、これが迎えだとでも言うのか…?それに ——」


(教会…確かにそう言っていた)


 今は亡き妻の声、死んだはずの老人、そして教会。

 妻を埋葬したのも、老人と同じ教会だった。


 男は護身用の銃を取り出し、教会に向かうため車へと乗り込んだ——



—— のだが...



「クソッ、まだローンだって残ってんだぞ!!」


 自慢の愛車。そのボンネットには、切り裂いたような跡が残されていた。


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「あの、おねーちゃん?」

「はい?」

「これ、ゾンビ...」

「ゾンビっすね」


 気持ちは通じなかったようだ。

 いや、意図的にスルーされたとみるべきか。


「ボク、ホラーはちょっと...」

「言うて都市伝説も似たようなものじゃないです?」

「………。」

「………。」


「だから今日は配信前に内容教えてくれなかったんですね…?」

「あっはっはっは!」

「笑って誤魔化さないでください!!」

「へてぺろ♪」

「もう!いいですよ、わかりましたやってやりますよ!!」

「おっ、その意気っすよ、その意気」


:秘密にしてたの草

:開幕から良い悲鳴だったw

:予備の鼓膜があって助かった、無ければ即死だった

:むしろ悲鳴に吃驚した件


「そんじゃ、チュートリアルスタート!」


———

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 その晩、絵茉えまは終始良い笑顔をしていた…とだけ言っておこう。

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