第2話 魔法少女ギャル

黒の魔法少女は傷だらけ 2




変化とは些細な行動から生じる。


まるでどっかの哲学者が言ってそうなセリフだ。


しかし、強ち間違いではないと俺はしみじみ思った。


それは、無機質で表情に変化がない黒乃と、一緒に学校へ登校した事がきっかけだ。


俺は昨日起こった出来事を、根掘り葉掘り聞き出す事に夢中で、俺は全然気づかなかった。


教室に入るや否や、小枝が俺の所へ慌てて駆け寄り両肩を掴んでぐらぐらと激しく揺らす。


「お前、黒乃とどう言う関係だ!?」


どう言う関係?


お前にはどう見えてんだ?


俺と黒乃は普通に、ただのクラスメイトだろうが。


「もう学校中で噂になってんぞ。お前と黒乃が一緒に登校してたってな。お前ら付き合ってんのか!?」


はぁ!?


何言ってやがる。


「付き合ってる訳ないだろ。家が近所なんだよ。それで一緒にここまで来ただけだ」


「お前、そんな言い訳が通用する訳ないだろ」


言い訳ってなんだよ。


「あの黒乃だぞ。同じ学年のイケメン森野や、運動部最強の高橋、いやそれだけじゃない。二、三年の強者揃いの先輩達の告白を無言で玉砕した黒乃だぞ!?」


そいつらがどこの誰だか全く知らんが、黒乃は学校で絶大の人気を誇るらしい。


半信半疑だった、小枝の学校美女ランキングも割と当たっているのかもしれないな。


だとしたら、1位と2位を知りたいところだ。


「まぁ、一万歩譲ってお前の話が本当だとしても、黒乃を狙ってる男連中達が、お前の事を黙って見てないかもしれんな」


おいおい、まるで襲われるみたいじゃないか。


「怖いこと言うなよ」


「可能性の話だ。それくらい黒乃は、この学校じゃモテる女だって事だ」


そうか。


言われてみれば、今朝はやけに視線を感じのは、そう言う事だったのか。


俺は、自席に座って涼しい顔して外を眺める黒乃に目をやった。


「もしお前にその気が無いのなら、黒乃に近づくのはやめといた方がいいぜ。黒乃を狙ってる連中の目の敵にされるだけで、いい事はないからな」


小枝は再び俺に釘を刺す。


玉砕された連中も、黒乃を虎視眈々と狙ってる男共も、アイツが魔法少女で、夜な夜な生死を懸けた壮絶な戦いをしてるなんて知ったら、どう思うんだろうな。


俺はそんな事を思いながら、小枝にテキトーな返事をした。


他の誰かが俺の代わりに命を狙われてくれるなら、すぐに黒乃から離れてやるさ。


しかし現実はそう甘く無い。


どうやら俺は500年周期で誕生する、特殊な力を持った人間らしい。


何言ってんだコイツって思うだろ?


俺も黒乃からそれを聞かされた時そう思ったさ。


何なら今でも信じてない。


そして女王クィーン と呼ばれる敵の親玉が、俺の持ってるその力を奪う為に、手下のナイトと呼ばれる、黒い影を使って襲っているらしい。


力の詳細は詳しく聞いてない。


M機関だかS機関だか知らんが、国家権力より力のある存在がそれを教えてくれないらしい。


だから、昨日起きた事も黒乃からも強く口止めされている。


——まぁ、もし万が一情報が漏れてしまっても、魔法少女の摩訶不思議な力で何とかなるらしいが。





4時間目の授業は体育だった。


昼食前に体を動かすのはあまり好きでは無いが、教室でダラダラと授業を聞くより、幾分かマシではある。


授業内容はと言うと、サッカーだ。


男女混合11人の2チーム、俺たちのクラスは30人いて、公式のルールですれば8人のお釣りがでてくる。


そして、俺のクラスは自主的な奴が多い事から、自ずと俺はベンチを温める役となったのだ。


試合開始のホイッスルが鳴ると、観戦を楽しみにしてた訳でもないのに、無意識に手を叩いてしまう。


ベンチに座る余り組を見ると、そこは俺と同じ自主性に欠けた女子達だ。


いつも見る顔つきばかりだが、今日は一人足りない。


あれ、黒乃は?


俺はコートに目をやると、黒乃は敵陣のど真ん中にいた。


おい、お前にフォワードなんて務まるのか?


てか何でお前が真面目に授業に参——いや、よく見たら一歩も動いてないぞ。


何がしたいんだアイツ。


しかし、特に面白そうな試合でも無かったので、俺は黒乃を観察していた。


黒乃は蹴られていくボールを、ただただ見つめるだけだった。



暫くして、事態は急変する。


0対0のまま前半戦が終わりかけた頃、何の気ないゴロのボールが黒乃へ渡った時だ。


黒乃は転がってきたボールをトラップもせず、そのまま勢いよく蹴り上げた。


ボールはまるで音速で、敵陣のキーパーが反応すら出来ずに、ゴールネットが揺れた。


当然周りは唖然とするが、それは直ぐに歓声へと変わった。


同じチームのメンバーは第一志望の高校受験に合格したくらいのテンションで盛り上がる。


相手チームも敵ながら天晴れと言うように、拍手を黒乃に送る。


しかし、ここで動じないのが黒乃だ。


まるで置物の様に、硬直してやがる。


黒乃にボールさえ回せば点が入ると理解し、味を占めたチームはその前半、黒乃にパス回す事だけに集中して見事6得点を取った。




勝ちを確信した黒乃チームは、後半戦に黒乃抜きで試合をする事に酷く嘆じていた。


後半戦が始まると、黒乃は俺の隣のベンチに座る。


俺と同じくしてベンチに座っていた女子達とは椅子を離して座っていたので、黒乃が俺の隣に座り込むのは周りからすれば、かなり不自然である。


友人か恋人か、兎に角親しい間柄の人間でなければまずあり得ないので、その光景に周囲の目線を集めた。


非常に話しづらい。


「今日の放課後、3階図書室前の空き部屋に来て」


先に話を切り出したのは黒乃だった。


「何の為に行くんだ?」


「部活」


はぁ、また突拍子のない事を言い出す。


俺の聞き間違いじゃないよな?


お前の口からそんな言葉が出るなんて驚きだ。


「文化部なら最低でも3人は必要だぞ」


「大丈夫」


一体何が大丈夫なんだ?


お前にそんな人脈があるとは思えんけどな。


まぁ、コイツがそう言うなら大丈夫なんだろうな。


「それより、何でサッカーに参加したんだ?いつもならここで見学してるのに」


「このままだと、体育は追試対象になる。それは避けなければいけない」


「えらく、必死だな」


「貴方と進級する為」


「何たら機関とかの言いつけか?」


黒乃は黙って頷いた。


聞いたかお前ら?


黒乃は国家権力よりも強い機関の言いつけで、俺の近くに居るだけだ。


それ以上やましい事は何もない。


だから俺を見るな。


ボール見ろ。




それから、あっという間に時間は過ぎ、時刻は4時を回り放課後。


俺は黒乃に言われた通り、3階の図書室前にある空き部屋へ足を運んだ。


不用心な事に鍵は空いており、中に入る。


そこは教室程大きな空間ではなく、本当にこじんまりとした部屋だった。


周りを見渡すが、黒乃の姿はない。


おい、俺が一番乗りかよ。


仕方なく、俺はその辺に放置された椅子の埃を叩き座る。


長机が2つに、椅子が3つ。


それ以外には何もなく、マジで殺風景の部屋だ。


こんな部屋で一体、何をするつもりだ。


そんな事を思っていると、不意にドアが開けられる。


「遅くなった」


「ちーっす!」


そこに居たのは、黒乃ともう一人。


アイツが大丈夫と高を括っていた理由。


褐色肌に金髪のツインテール、オマケにするには勿体無い程の美人で、まるでアニメキャラみたいだ。


「黒乃、その人は?」


「きゃは!王が喋った!マジヤバっ!」


何となく雰囲気から薄々分かっていたが、やっぱりギャルだな。


そして、何がヤバいんだ。


「自己紹介して」


「うす!1年4組の茜小桃あかねこももでーす!黒乃先輩と同業やってまーす!」


「同業って事はアンタも——」


「ピンポーン!魔法少女でーす!」


ギャルでも魔法少女になれるのか。


「同じ1年なら何で黒乃を先輩呼びするんだ?」


「ヤバウケる!王って何も知らないんっすね!プププ」


褐色ギャルはケラケラと笑う。


事の事情を知ったのは昨日の今日だぞ。


そら、知らん事の方が多いわ。


「黒乃先輩は由緒正しい魔法少女の血を引く人で、めーちゃ強いんすよ!」


「まぁ、それは生で見たから何となく分かるが…」


「反応薄っ!この業界で黒乃先輩って言ったら、マジスゲー人なんすよ!」


茜は目をキラキラと輝かせて話すが、黒乃は他人事の様に涼しい顔をする。


「茜。掃除頼める?」


「了解っす!」


黒乃の頼みを快く承諾した茜は、徐に指を弾く。


すると、手から一瞬にしてホウキが誕生した。


見た事あるぞ。


空飛んだりなんたりする、魔法のホウキってやつだな。


やっと魔法少女っぽいものが見れると少し期待したが、褐色ギャルはそのホウキを使って普通に掃除を始めた。


飛ばんのかい。


期待してちょっと損したわ。


「一瞬にして部屋が綺麗になる魔法とか無いのか?」


「一応あるにはあるんすけど…」


「学校ではなるべく魔法は控える。人目につくと厄介だから」


「でも、記憶は消せるんだろ?」


茜は嫌そうな顔をして言葉にする。


「消せるには消せるんすけど、私は絶対やーっすね。相手の体内に魔法を流し込むなんて…」


茜は想像して嗚咽した。


何だよその反応、一体何するんだ。


「直接体内に魔法を取り込めれば方法は何でもいい。お腹に刃物を刺して流し込んでもいいし、口内から直接流し込んでもいい」


おいおい、物騒な事を真顔で言うなよ怖いぞ。


「てか、口内からってお前——」


「そう。昨日貴方を眠らせる為にした」


「えっ!?黒乃先輩マジっすか!?」


茜は少し頬を赤らめ口を押さえた。


俺は一つ気になった。


「それって他の奴にも同じ事してんのか?」


「もしかして、ヤキモチ妬いてんすかぁ〜?ウケるー!まぁ、確かに黒乃先輩は可愛くてめっちゃイケてるんで、そうなる気持ちも分かるっすよ!」


茜は俺の肩をポンポンと叩く。


お前は口より手を動かすんだ、そらそこにいっぱい埃があるぞ。


「安心して。貴方が初めてで、これからも貴方以外にする事は無い」


茜は再び口を押さえた。


「こ、告白!?黒乃先輩パネェ〜!」


「い、いや、それは少し違う気がするが…」


「茜は早く掃除して」


「了解っす!」


茜は敬礼をして、機敏に掃除を始めた。




俺は黒乃の言葉に少し安堵していた。


黒乃はそう言う所も少し疎そうだし、仕事に従順なアイツなら、性別問わず誰にでも接吻をするのかと思っていた。


親心というか、何というか。


黒乃にもそれを選別する思考がある事に驚いた。


まぁ、しかし選別すると言うのなら、アイツは俺との接吻も仕事の内に分けらるのかもしれない。


何はともあれ、真実は黒乃のみぞ知る訳だ。




待て、重要な事を忘れてた。


「部活って何をするんだ?」


「ミステリー研究部」


おいおい、よくそんなもんの申請が通ったな。


「部活楽しみっすね〜!」


「UFOや幽霊でも研究するつもりか?」


「それも悪く無いっすね!」


「科学的根拠が無さすぎて、UFOも幽霊も存在しないって言われてるんだぞ」


「王子、夢無さすぎ〜!まぁ、科学じゃ証明できない事もあるしね〜!」


茜はそう言って、指を弾いてホウキを消した。


こじんまりした部屋は、いつの間にか魔法でも掛けられたかの様に、ピカピカになっていた。


確かに言われてみれば、こいつらも非科学的存在だよな。


てか、おい誰が王子だ!


「時間さえ稼げれば、活動は何でもいい」


「どう言う事だ?」


お前の説明はいつも足りん。


「貴方が18歳を迎えるまでの約1年と9ヶ月の間に女王の戦力を削る」


「再来年の俺の歳と、一体何の関係があるんだ?」


「再来年の5月1日、貴方の力は覚醒する。その力を女王クィーン は虎視眈々と狙っている」


それも初耳だ。


コイツは聞かれた事以外話さないからな。


かと言って俺は何を聞けばいいのかも分からん。


「戦力削るって、具体的にどうするんだ?」


「逢魔時までここで暇を潰して〜、ナイトが王子を狙って現世に姿を現した時に〜、ぶっ倒しながら一緒に帰宅するんすよ〜!マジ一石二鳥って感じ〜!」


女王クィーン の力には限度がある。だから作れるナイトの数にも限界がある。残りの1271体の夜と7体の真夜中ミッドナイトを倒せば、後は女王だけ」


ギャルの言ってる事は何となく理解したが、黒乃はさっきから何を言ってるんだ。


1271?冗談だろ。


それに真夜中ミッドナイトって奴もよー分からんし。


「まぁ兎に角、王子はここでウチらとスクールライフを満喫すればいいって話〜!」


「そう言う事」


どういう事かさっぱり分からんが、帰路に怯えながら毎日を過ごす事だけは理解できた。


「あ〜!微妙な反応〜!両手に美女っすよ〜!もっと嬉しそうにしてくださいよ〜!」


お前らが魔法少女じゃなかったら、それも出来ただろうさ。




そして褐色ギャルの言う逢魔時まで、俺達はババ抜き10回勝負して、俺が10回負けた。


3人でババ抜きして一人が10回負ける確率が何%なのかは知らんが、絶対魔法使ってるだろおい。




やがて時はやってくる。


「そろそろ」


ババ抜きに夢中になっていた俺は、黒乃の言葉にハッとなり窓の外を見ると、それはもう逢魔時ってやつだ。


俺達は帰り支度をして、校門を出る。


昨日の悪夢を、自らもう一度味わうなんて、どんな罰ゲームだ。


しかし、今回は魔法少女ギャルが増えた事で、昨日より幾分か心に余裕はできた。


「茜も家はこっち側なのか?」


「え〜秘密〜!」


「私と同じマンションに住んでいる」


「先輩ネタバレ早すぎ〜!」


「一応聞いておくが、そのマンションに一般人は住んでるんだよな?」


「と〜ぜんっすよ!あっ、今度ウチに遊びくるっすか!?」


「遠慮する」


「あはっ!断られたっ!」


ほんと調子狂うよな。


こんな陽気なやつ頼りになるのか?


戦力と比例して不安も増すばかり。





俺達は電車を降りて、魔河市に到着する。


俺達は他愛の無い話をしながら帰路を暫く歩くと、黒乃とギャルは同時に足を止めた。


そこは廃れた繁華街。


昔はかなり賑わっていたらしいが、今はシャッター街となっている。


「茜」


「了解っす!」


黒乃が名前を呼んだだけで、ギャルは何かを理解し返事をした。


「ドレス〜ア〜ップ!」


ギャルは掛け声と共に回りだし、着ていた学生服が発光する。


眩しい光に耐えきれず、目を瞑る。


そして俺が目を開けた時には、ギャルの服装が変わっていた。


檸檬色のフリフリドレスに、ツインテールの髪を結んでいたゴムは、檸檬色の大きなリボンに変わっていた。


手のひらに大量の光を集め、大きなハンマーを生成する。


「パパッとやっちゃいましょう!」


この間、ほんの数秒。


俺が歩いていた繁華街は、疎と人が居たのに今は消えている。


「おい、何する——」


俺の言葉は呆気なく遮られた。


ギャルは俺に向かって大きくハンマーを振りかぶった。


いや、正式には俺の後ろにいるナイトに向かってだ。


てか、お前ら俺に一言言ってから始めろよ!


こっちにも心の準備ってもんがあるだろ!


ギャルのハンマーによって叩きつけられた地面は、けたたましい音と共に激しく抉れ、そいつが威力を物語っていた。


その一発を境に、周辺の地面から黒い渦を巻いてそこから複数のナイト達が湧き出て来た。


黒乃は俺の手を握り、ナイトから距離取った。


「あいつ一人で大丈夫なのか!?」


「大丈夫。茜は強い」


強いとは言っても、万が一があるだろ。



とか思っていたが、昨日の黒乃といい今日のギャルといい何でそんなに機敏に動けるんだ。


触手のようにナイトから伸びる影をサクサクと避け、次々とハンマーで叩き潰していった。


飛んで跳ねて回って、まるでウサギのようだ。


気づけばナイトは全滅し、残ったのは酷く抉れた地面だけだった。


そして、ギャルの手にあったハンマーは光の粒子へと変わり、宙に淡く消えていった。


「終わったっすよ〜!」


ギャルは元気に手を振りながら、こちらへ駆け寄る。


確かに、黒乃の言う通りギャルは強かった…。


「お前も本当に魔法少女だったんだな…」


「えっ!疑ってたんすか!?」


ギャルは酷く驚いていた。


しかしこうして見ると、唯のコスプレ衣装にしか見えないが、ギャルも顔やスタイルが良い分、よく似合っているな。


「あ、もしかしてウチに惚れちゃいました?」


「悪いがそれはない」


「くぅ〜!王子辛辣すぎ〜!」


「壊れた地面はどうするんだ?」


「結界を張ってるから大丈夫」


そう言って黒乃は結界というやつを解いた。


すると、先程まで周辺にいた人達が突然現れた。


そんなもんいつ張ったんだよ。


気づけばギャルの姿も、見慣れた学生服に変わっていた。


「いつ着替えたんだ?」


「ひ・み・つ」


別に隠す必要なんてないだろうに、まぁ俺も過度な詮索はやめておこう。


今日が終わったと思い一息吐くと、視線を感じる。


「どうした?」


珍しく黒乃の無機質な目が俺に向けられる。


「怪我してない?」


「あぁ、大丈夫だ」


「疲れた?」


「昨日よりかはマシだな」


黒乃はそっぽ向き、「そう」とだけ答えた。


これは俺の気のせいだったかも知れないが、何か少し言いたげな顔をしていたような気がした。


それから、黒乃と会話はする事なく俺達はいつもの交差点に着いた。


しかし、俺が一人になった所をナイトが襲ってくるかもしれないから、今日は俺の家まで見送ると言い、2人は家まで着いてきた。


俺も闇討ちされて人生終わるのも嫌だしな。


こうして2日目も何とか無事帰って来れた訳だ。




次の日。


早朝、俺がまだ夢うつらのままリビングへ足を運ぶと、またしても衝撃が走る。


「ぬぁ!?」


またしても、俺の家のダイニングテーブルに黒乃が!


そして——


「あっ!王子、おはっぴー!」


ソファーに寝転がり、俺の姿を確認すると手を振って挨拶する、褐色ギャルがそこに居た。


何がおはっぴーだ!


俺が呆気に取られていると、後ろから背中を肘で突かれる。


「あんた、モテモテね」


母よ、これはモテているわけではないのだ。


しかし魔法少女の件は、たとえ親族であっても他言無用らしいので、俺はなんとも言えない微妙な返事をしてその場を凌いだ。




さぁ、冒頭に戻ろう。


変化とは些細な行動から生じる。


言うまでも無い。


俺はこの2人と学校へ行った事により、再び周囲の熱い視線を独り占めする事なんかな。


まぁ、それはまた次の話だな。

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黒の魔法少女は傷だらけ 駄犬 @daken-7

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