第7話
がたがたと大きな音を立てて、戦車サイズの馬鹿でかい車、軍用車って言うんすかね? が、竜の死体を解体している先輩のそばで止まりました。
降りてきたのはなんと女性。動きやすいサバイバル系の服装とは逆にら長い黒髪をお団子にまとめた活発系美女っす!!
「……これは君たちが?」
冷ややかな目……勘違いで無ければ敵意すら感じる態度っすね。
先輩は我関せず、目を輝かせて夢中で竜を解体してます。
「……あー、まあ、そっすね」
「そこの男、答えろ」
むきーっ!
なんつー態度っすかこいつ!!
先輩、やっちゃってください!!!
「俺は忙しい。大人しく待っていろ」
いやそれはそれでなかなかヒヤヒヤする回答っすね……。
相手は一応軍人? ですし……。
「……わかった、待とう」
どうやら軍用車にはもう何人かいるみたいで、中に入ってこそこそ話してました。
んー、少し考えてみますか。
なぜこの人たちが友好的な態度じゃないのか。
いち。私らを魔族だと思ってる可能性。
……まあ無くはないっすね。魔族の見た目知らないっすけど。
に。反社会勢力だと思ってる可能性。
人類の危機に反社会もくそも無くないっすか? どんな人でも手を取り合わないと。
さん。この人たちが反社会勢力の可能性。
人類の危機に乗じて……うーん考えずらいっすね。それこそ前述と同じ理由で。
てことは私たちがするべきは人間アピール?
でもなんかあんな態度でこられると癪っすね。感情的に。
「平野。これ持ってろ」
ん、うわ、これ竜の体に入ってたやつっすよね……。持ちたくない……。
「魔石だ。俺は要らないが、お前には良いだろう」
「え、それってどういう——」
「もういいだろう」
女の人は先輩の様子を見て終わったと判断したみたいで、車から降りると先輩に詰め寄ります。
「見てたんだろう? それが全てだ」
「……魔法をどこで覚えた」
「くく……ならまずは貴様らから話せ」
うう、険悪なムードっす。
でもさっきの戦いを見てあの態度ってことは、相当腕に覚えがあるんすかね?
「機密事項だ。私の質問に答えろ!!」
「答えさせてみるか? 貴様らの魔術で」
「なっ……!!」
女の人の顔色が変わります。
え、てことはこの人も魔法使えるってことっすか?
「やめろ八雲、お前じゃその人に敵わん」
車からさらに人が降りてきます。
声もそうだけど、見た目もやたらダンディーっ!!
守備範囲外っすけど。
八雲って女の人はグッと堪えて一歩下がります。
力関係はダンディーが上っぽいですね。
「すまんな。俺は生島、SATだ。こいつが八雲、俺の部下だな」
「ご丁寧にどうも……。この人は素粒子論研究者の阿手原で、私が物理学研究者の平野っす」
先輩はつまらなそうにしてます。血の気が多いっすよ。相手は魔物だけにして欲しいっす。
「わりーが俺もお前らを警戒する立場にある。その上で人類にとってプラスになると判断して回答するが、俺たちは魔法について発見している」
え!! 先輩の思った通りってことっすか!!!
「だがそれは国家組織の母体あってのことだ。どう見ても一般市民のお前らが魔法を使ってたら、そりゃ警戒もする」
なんだ結局、私たちのことを魔族かなんかだと疑ってる訳じゃないっすか。
まあ先輩は疑われても仕方ないっすね。
……魔族じゃないっすよね?
「安心しろ、俺は人間だ」
「なら経緯を——」
「だが貴様らの味方をする理由もない」
空気がひきつります。
私は何も言ってないんすけど……。
今更寝返っても遅いっすか?
「反勢力……ってことで良いか?」
「くく……掛かってこい」
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