第3話


街にはさっきの豚の化け物、他にも見たことない化け物だらけ。



「もしかして、みんなもう……」

「いや、争った形跡がほとんどない。避難済みだろう」

「それなら良いんすけど……」



いや良くもないっすね。

人間の街がこうも化け物たちの手中に落ちてたら、私たちはどうすれば……。


「やはり目的意識が強いな。人のいる場所といない場所で、明確に魔物の数が違う。こいつらも魔族の指揮下だ」

「それって良いことっすか? 悪いこと?」

「良いことだ。俺にとってはな」



え? そもそも先輩って、人間の味方ってことで良いんすよね?



「いくぞ」

「どこに?」

「街以外にどこがある」

「いやいや占拠されてますよ」

「関係ない。いや、だからこそだ」

「やだーーー!!!」


嘘! 無理! 私にとっては先輩は敵っす! 敵敵! やめてー!!!


と、ひとしきり暴れたところでどうせ私一人じゃ何もできないので諦めて着いて行きます。

せめて実家に遺書でも遅れたら良いのに。




大きい街じゃないし田舎だから見通しが良いっす。

化け物たちの様子がよく見えるっすね。


「さっきのでかい豚がちらほら……あとその小さい奴と、猿? みたいなのもいますね」

「オークとゴブリンだ。お前、ファンタジー全くわからんのか?」

「わかるわけないっす。私をなんだと思ってるんすか」

「それにしてもな……まあいい」



山道の麓から街を観察します。街を占拠した化け物たちが何をしてるのか、何の目的があるのかを観察するためっす。


山の方には目もくれないってことは、やっぱり人間か街が目的ってことっすよね。



「ん、なんか小学校の方に集まってないっすか?」

「ふむ……避難所か」

「!! じゃああそこに人が!!!」



逃げ遅れた人たち!!?

でも小学校なんてそんな防災設備ないっすよね!?

多少の食料備蓄はあっても……!!


「先輩!!」

「わかっている。面白いものも見れるかもしれん」


まあ助けるのは先輩なんすけど!



車に乗り込んで飛ばします。先輩は何かあった時の対処。でもできるだけ化け物たちはスルーして、最速で小学校へ向かいます。


田舎でよかった、道が広い!

化け物たちも流石に100キロ近い車には手も足も出ないっす!!


「運転してる時だけは強気だな」

「言ってる場合っすか」

「それもそうか」



……っ!!

そろそろっすね……!


「先輩、これ以上は車じゃ……」

「任せろ」

「でもこの数……」


小学校を取り囲むように無数の化け物たちが取り囲んでます。

私たちに注意が向くのも時間の問題っす。


中の人たちは——



「面倒だ、飛び越えるぞ」

「え?」


トビコエル……?

何言って—— あ。


「どこ掴んでんすか!!」

「舌噛むぞ」


そう言って先輩は私を小脇に抱えて化け物ごと小学校の柵を乗り越えます。

これも魔法? とか思う暇なく絶叫コースター並みのスリルを味わいながらここに来たことを後悔するしかありませんでした。





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