第4章75話:再会

砂浜に降り立ったアリスティ。


そんなアリスティに、ユーナが走りながら近づいてくる。


そしてユーナは、アリスティに抱きついた。


ぎゅっと抱きしめる。


「アリスティ!!」


「お久しぶりです。ユーナ」


と、アリスティは告げた。


ユーナは一度、抱擁ほうようを解き、言ってきた。


「アリスティ……言葉がわからないわ」


「……ああ」


アリスティは、つい大陸の言語で話しかけてしまっていた。


しかし大陸で使われる言語と、ユーナたちが使う言語は違う。


アリスティは、元の言語に切り替える。


「ごめんなさい。今のは大陸の言語です」


「……そっか。そうよね。アリスティは、大陸で暮らしてたんだものね」


ユーナは納得する。


続けて、言った。


「本当に、心配だった。もしアルヴィケルに負けて、アリスティが大陸に辿り着けていなかったらって……何度も考えたわ」


「……はい」


「でも、無事に生きて、帰ってきたのね。本当に、本当に良かった……ッ!!」


ユーナがまた、ぎゅっと抱きしめてくる。


彼女の声は、震え、涙ぐんでいた。


アリスティは、答える。


「はい。お母さんとユーナを、迎えに来ました」


アリスティの心に、深い感動が満ちあふれる。


この日のために、自分は頑張ってきたのだと……アリスティは、達成感をかみ締める。


と、そのとき。


「アリスティ」


背後から声をかけられる。


ティルセアだ。


アリスティはユーナとの抱擁を解く。


「君の母親はどこかね?」


「アリスティ? この人は?」


と、ユーナも聞いてくる。


一度に質問されたアリスティは困惑しつつ、一つずつ答えていくことにする。


まずは、ユーナの質問に答える。


「この方はティルセアさん。女医です」


「女医!? まさか」


ユーナが目を見開く。


アリスティはうなずき、言った。


「はい。魔力病を治せるお医者さまです。あの、ユーナ……お母さんは、掘っ立て小屋ですか?」


「え? ああ、うん。いま休んでいるわよ」


「ティルセアさんを連れて行きたいですが、よろしいですか?」


「もちろん!」


と、ユーナは首肯した。


アリスティは、ティルセアさんを向いて、答えた。


「お母さんは、あちらの掘っ立て小屋で休んでいるそうです」


「そうか。さっそく向かおう」


「はい」


と、アリスティは首肯し、ティルセアさんとともに砂浜を歩き始める。


ユーナもついてきた。





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