第3章69話:祝勝と休息

「しかし、」


とクレディアは言う。


「そのミユテとうというのが、どのあたりの海域に存在する島なのかもわからないとなると、まずは海図かいずを見て、おおよその位置を探ったほうがいいかもしれないな」


その言葉に、フリーナが同意する。


「ええ。そうですね。早く救出してあげたいのは山々やまやまですが、遠洋えんようへの船出ふなでは危険がつきもの。慎重な航海をしなければなりません」


アリスティはうなずいて、言った。


「承知しています。確実な救出をお願いします」


と再度、頭を下げる。


フリーナは微笑する。


近くに控えていた執事に向かって、言った。


「では、カティアス。今の話について、諸々もろもろの手続きをお願いできますか」


「かしこまりました」


と、カティアス氏は一礼してから部屋を去っていった。






かくして数日後。全ての班が街へ帰還。


グランウルフの掃討作戦そうとうさくせんは成功に終わった。


今回の作戦ではほとんど死者は出ず、おおむね完全勝利という結果で終わったと言っていい。


作戦の参加者には達成報酬たっせいほうしゅうがそれぞれ支払われる。


冒険者は冒険者ギルドで。


兵士は兵舎で。


それ以外の者は、フリーナが出した使いから直接。


アリスティはもう報酬を貰ったので、使いがやってくることはなかった。







そして今回の戦いで、タイラントワーウルフやグランウルフロードが討伐されたことが公表された。


あんまり有名人になりたくなかったので、アリスティは、タイラントワーウルフの討伐者について、名前を伏せてもらうことにした。


ちなみにタイラントワーウルフは荷台にだいに乗せられ、街を一周していた。


討伐した証拠を見せ付けるためのデモンストレーションらしい。


たかだか魔物の討伐でそこまでする必要があるのかと思ったけど……。


グランウルフは街や村を脅かしていた存在。


タイラントワーウルフはその根源たる魔物。


『確かに脅威は去ったのだ』と示すために、こうしたパフォーマンスが行われたようだ。


そのおかげか、街はちょっとした祝勝ムードになった。







そしてアリスティは。


2日間の休息を取ることにした。


タイラントワーウルフとの戦いは、なかなか大変な仕事だったので。


思いきり休もうと思ったのだ。


朝風呂などしたり。


のんびりとデザートを食べて。


ベッドに寝転んで、ごろごろ。


ごろごろ。


ごろごろ……。


うーん。


まったり。


ダラダラと休日を過ごす。




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