第3章57話:討伐

アリスティは考える。


(私は……どうしましょう?)


ここまできたら、もうグランウルフの相手は他の人に任せてもいいかもしれない。


アリスティは、自分の持ち味は「攻撃力」であると理解している。


その攻撃力は、敵の上位種にこそぶつけるべきだろう。


ゆえに標的は、グランウルフロード。


奥にいて、静観しているタイラントワーウルフは不気味だが、何もしてこないなら放置でよい。


「ふっ!!」


アリスティは一番近くにいたグランウルフロードに接近した。


バルードが戦っているグランウルフロードだ。


彼一人だと押され気味だったので、加勢することにした。


「おわっ!? アリスティか!?」


「加勢します!」


アリスティはグランウルフロードの間合いに素早く入り込み、打撃を叩き込んだ。


「グルゥッ!!?」


横面を殴り倒されたグランウルフロードは吹っ飛んでもんどり打つ。


手ごたえはあったが倒せてはいない。


追いかけて追撃を仕掛ける。


「ガウウウウウウッ!!」


グランウルフロードの鋭い爪による反撃。


それをかわして顔面に蹴りを浴びせる。


グランウルフロードはふたたび吹っ飛んで悶絶した。


バルードが笑う。


「ははははは! お前すげーな! めちゃくちゃ強えじゃねえか!」


「そ、それはどうも……」


悶絶していたグランウルフロードが起き上がり、逃げようとしていた。


それを阻んだのは、紫の光線。


一条の紫光が地面を滑るように駆け抜け、グランウルフロードの退路を塞ぐ。


セレーネの援護だ。


アリスティはその隙を逃さず……


逃げそびれたグランウルフロードに拳を叩き込んで、ぶっ飛ばした。


グランウルフロードが倒れ伏せる。


バルードが叫んだ。


「おっしゃああああ!! 一匹撃破だああああ!!」


その大声は他の者たちにも届く。


グランウルフロード1体目の討伐に、全員が沸き立った。

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