第3章51話:ロード

男性3人組の一人、角刈りの男が賞賛の言葉をもらした。


「すごいな……これが魔剣のセレーネか」


確かに……と、アリスティも感嘆する。


セレーネも高い戦闘能力があることがうかがえるが、あの使い魔のミニドラゴンもかなり強い。


相当、頼りになる味方であると予想できた。


バルードが告げる。


「俺たちも参戦するぞ!」


バルードが一番近くにいたグランウルフに斬りかかった。


それに続いて、クレディアたちも攻撃を開始する。


セレーネがグランウルフをなぎ倒しながら、不敵な声で言ってきた。


「ふん、遅かったじゃない。あんたたち」


クレディアがその挑発的な物言いを意に介さず、告げた。


「たった一人でここまで踏み入ってきたその力量は、賞賛に値する。さすがは魔剣のセレーネといったところか」


「一人じゃないわ。ベティも一緒よ」


「ベティ? そのミニドラゴンのことか」


「そう。あたしたちは常に二人。まあ、一人でも強いけどね」


セレーネは話しながら、敵に斬りかかる。


彼女の攻撃は、見ていて気持ちがいいぐらい豪快である。


そのとき。


近くにグランウルフが迫っていた。


位置的にアリスティが一番近い。


アリスティは迎え撃つべく、拳を構える。


「ガウッ!!」


飛びかかってきたグランウルフに、拳を放った。


アリスティの超級のパンチがグランウルフに命中し、木々をなぎ倒しながら飛んでいった。


「おお~……」


と、サラから感心の声が漏れる。


バルードが言った。


「すげーな……魔物があんなぶっ飛び方するのは、そうそう見たことねーぜ」


「噂に違わぬ実力のようじゃな」


と、オーファンも応じる。


セレーネは鼻を鳴らしながら、


「ふん、なかなかやるじゃない」


と、賞賛してきた。


そのとき。


オーファンが言った。


「敵が増えてきたぞ」


「続々とグランウルフがここに集結していますね~」


とサラが応じる。


確かに、アリスティたちが来たことで殲滅力が上がったはずだが、一向に敵の数が減らない。


「む……親玉も来たようじゃな」


オーファンがそう告げた直後、叫び声が上がった。


「ロードだ! グランウルフロードが出たぞ!!」


男性3人組の一人が、指をさす。


その示唆するほうを見やると、明らかに雰囲気の異なる個体が姿をあらわしていた。


刺すような威圧感。


鋭い眼光。


大きな牙と爪。


そして……グランウルフに比べて、少しデカイ体格。


あれが、グランウルフロード。


この集団のボスか。


セレーネがニッと笑って告げる。


「やっと出てきたわね。さっそく叩き斬ってやるわ!」


セレーネが一も二もなく斬りかかった。


しかし――――


「……ッ!?」


セレーネが斬りつける前に、グランウルフロードが素早く跳躍して間合いに入り込む。


セレーネが舌打ちをして叫んだ。


「舐めるな!」


左手に魔力を込めるセレーネ。


魔力は紫をともなう魔法球に代わり、それをセレーネがグランウルフロード目掛けてぶん投げた。


グランウルフロードが横に飛んで回避する。


だが―――


魔法球が空中に留まり、スパークのごとく弾けた。


紫光しこうがほとばしる。


通常なら、突如として発生したスパークの激流にグランウルフロードが捕まるはずだったが――――


グランウルフロードは目敏めざとく危機を察したのか、さらに後ろに飛んで退避。


スパークの炸裂範囲から脱出したのだった。




―――――――――――――

おしらせ:

新作を投稿しました!女主人公ハイファンタジーの小説です。

よろしければ、本作とあわせてお読みください!

【異世界に転生すると、私のチートスキルは『チョコレート魔法』でした!】

https://kakuyomu.jp/works/16818023212608563260

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る